璃月風土誌は、璃月の様々な場所で見られる書籍コレクションである。
第1巻[]
——手毬——
璃月では、婚儀の儀式の場で、花嫁は手鞠を賓客たちに投げる風習がある。その手鞠を受け取るものは向こう一年の幸運に恵まれるという。商人なら金運上昇、貧しい人なら幸福を得て、未婚の男女なら良い縁に出会い、そして既婚の夫婦ならお互い真摯に向き合い、つまらない夫婦喧嘩から卒業する。
手鞠の材質は様々だ。時に花を束ねて花の球を作り、時に美しい霓裳花からできた絹で作られる。素朴の家なら、色とりどりの紙や布で作る場合もある。璃月では、家が貧しかろうと裕福であろうと、みんなが一同にこの風習を楽しんでいる。
この風習の起源に関しては、隣国「風の国」モンドのバドルドー祭の風習を受けた影響だという説があるが、魔神戦争より前、「塩の魔神」がまだ璃月の大地にいる頃にできた風習だという説もある。「塩の魔神」は璃月の神々のうちの一柱だが、優しすぎる故、自分の部下に殺され、残酷な魔神戦争であまりにも早い終幕を迎えた。
彼女を葬る地は、璃月の人々に「地中の塩」と呼ばれる遺跡の中だと言われている。欠片しか残ってない伝説によると、彼女は自分の民に花の玉を配り、幸福…そして乱世の中、少しでもの慰めを賜った。塩の魔神が再び元素の循環に戻った後、各地に流れた彼女の民はこの伝統を璃月の人々に残したのかもしれない。そして競争に長け、賑やかさを好む璃月の人々は自分たちの個性に合わせてこの風習を変えていった。
この風習が形成された当初は至極愉快なものだったが、璃月の千岩軍の安全記録によると、毎年手鞠の略奪戦による傷者が少なくはない。山の妖に襲われる事件に比肩するほど多かった。
第2巻[]
——神迎え——
「七星迎仙儀式」と呼ばれる神迎えの儀式は、璃月で最も有名な祭りの一つだ。
毎年、璃月の大地を守護している岩神が降り、直々に御言葉を伝える。それに従えば、物事はすべて上手く運ぶのだ。
遠い過去の時代では、璃月の先住民は農民の中から、岩神を迎え入れる代表者を選び出していた。
彼らは上等な供え物や厳かな祝詞を捧げ、神の御言葉を聞く。そして、群衆に今年一年の方針を伝えるのだ。それによって、人々は富を手にし、災いから逃れ、岩神の国を豊かな大地にした。
その後、魔神戦争が終わり、璃月は徐々に栄えていく。璃月港を代表する商人である「七星星」が、民衆と岩神を繋げる存在となった。そして、明確単純な形で市民に神の言葉を伝え、その年の方針を発表するのだ。
「七星迎仙儀式」の進行役はその名の通り、「七星」の中からのみ選ばれる。
璃月港の商人にとって、岩神の御言葉は黄金よりも価値がある。
ゆえに、どんなに遠方に住んでいようが、岩神が降臨する日には故郷へ戻り、商売繁盛のため、御言葉の指示に耳を傾けるのだ。
雨林の国では、智者達が俗世を捨て、狂ったように隠された知恵を探し出そうとしていた。一方、盤岩の国では、人々は神の声に従い、国を豊かにしていった。
この世を共に歩む七神ででも、時折、進む方向を踏み違えるようだ。
第3巻[]
—霓裳花—
璃月の人々にとって、霓裳花は生活に欠かせないものだ。霓裳花は色彩豊かな花であり、その柔順な花びらは絹に使われている。加工を施した後も、花の香りは保たれる。その特性により、璃月の人は霓裳花から上質な香膏を作り上げた。その中でも最も上質なものは、岩王帝君に捧げると決めている。
高価な霓裳花香膏は香りの品質がまるで違う。璃月の女性の間でもそれに特別な思いが込められている。なぜなら、璃月には不文律な規則があるからだ——日常生活の中で、むやみに女性に香膏のことを聞いてはならない。しかし、もし香膏の種類に気づき、その特徴と意味を語ることができたなら、相手の心を掴めるチャンスになる。
璃月の村に伝わる言い方によれば、霓裳花香膏は奥蔵山に暮らす仙人から人間に伝わったものらしい。平凡な者と平凡でない者が一同に暮らす時代——ある仙人が人間に植物や動物から愛を学ぶことを教え、またある時は優雅な仙鳥と化し、香膏の作り方を清水で洗濯をする少女に教えた。
一体どんな少女が山奥に暮らす仙人をも惹きつけたのだろうか?無数に語り継がれ、潤色してしまった物語では、もう真相は誰にも分からない。しかし霓裳花による香膏の作り方は、千年経った今も変わらず残っている。
生えている場所の環境や種類の違いにより、霓裳花はそれぞれ違う特徴を持つ。璃月の商人たちはこうした特徴に様々な名前を付け、岩王帝君や仙人といった神秘的な名を使って修飾した売り文句をつける。そして——璃月の人々は皆こぞってそれに惹きつけられるのだ。
霓裳花は高い需要があるため、璃月の花商人たちはいつも大量に栽培している。それにより、璃月の至る所に霓裳花が咲いている。残念なことに、長期的な地形変化や採掘活動により、野生の霓裳花はほとんど絶滅してしまった。残っているほんの少しの野生霓裳花は、仙人たちによって守られている。精魂込めて作り上げたそれは、城内のものとはまるで違った気質がある。
面白いことに、璃月人にとって、優雅に香る霓裳花は岩王帝君の象徴の一つでもある。男性の形象で人の世を歩む神は、花を受け入れるために女性の形象にもなったことはあるのだろうか?希少な資料と世間の言い伝えだけでは、それが本当かどうかはっきりと言い切ることはできない。
筆者はかつて、七天神像が女性を象徴する霓裳花を受け入れたのを見たことがある。岩の神がどんな気持ちでその民に応えたのか、よその者である私には分からない。
豆知識[]
- 第1巻で紹介した手毬の伝統は、チワン族に実在した抛绣球 pāoxiùqiúという伝統に倣ったものである。「花球」と「絹球」はどちらも中国語で绣球 xiùqiúと書き、アジサイ属の中国語名でもある)。チワン族の伝統では、三月山祭に、女性は気になる男性に手刺繍の絹の玉を投げる。男性がそれに応じると、ボールをキャッチして小さな贈り物を結びつけ、彼女に投げ返す。その後、2人はデートをする[1]。
- 中国の歴史ドラマや時代劇では、結婚適齢期の女性が大勢の男たちに絹の玉を投げ、その玉をキャッチした者がその女性と結婚できるという描写が時々ある。史料を調べても、この風習が実際にあったという証拠はないが、メディアにおけるこの描写は、おそらくモンドの『バドルドー祭』の基礎となったものであろう。
- 第3巻に登場する、人間に霓裳花から香水を作ることを教えた仙人は、仙鳥の姿をして奥蔵山に住んでいることから、留雲借風真君である可能性が高い。
その他の言語[]
言語 | 正式名称 |
---|---|
日本語 | 璃月風土誌 Riiywe Fuudoshi[!][!] |
中国語 (簡体字) | 璃月风土志 Líyuè Fēngtǔ Zhì |
中国語 (繁体字) | 璃月風土志 Líyuè Fēngtǔ Zhì |
英語 | Customs of Liyue |
韓国語 | 리월 풍토지 Riwol Pungtoji |
スペイン語 | Costumbres de Liyue |
フランス語 | Coutumes de Liyue |
ロシア語 | Традиции Ли Юэ Traditsii Li Yue |
タイ語 | ประเพณีของ Liyue Prapheni khong Liyue |
ベトナム語 | Liyue Phong Thổ Chí |
ドイツ語 | Bräuche von Liyue |
インドネシア語 | Budaya Liyue |
ポルトガル語 | Registros de Liyue |
トルコ語 | Liyue Gelenekleri |
イタリア語 | Tradizioni di Liyue |
変更履歴[]
脚注[]
- ↑ China Daily: Sanyuesan Festival
ナビゲーション[]
|