夢喰い獏の心理療法士であり、秋沙銭湯の大株主。晴れない悩みに苦しんでいるなら、彼女に相談するといい。きっと助けてくれるはずだ。
—公式サイトより抜粋[1]
性格
「秋沙銭湯」の大株主で、夢喰い獏の心理療法士。人々の悪夢を追い払って安らぎを与えるために奮闘している。
—ゲーム内のキャラクターステータスとプロフィールページの紹介文
瑞希は、地位や種族の違いに関係なく、誰に対してもフレンドリーで礼儀正しい態度をとる。仕事柄、人々の心身の健康に気を配っている。努力家で、三川花祭を成功させるために何度も徹夜を繰り返したことからもわかるように、より大きな利益のために犠牲を払うことも厭わない[2]。他の夢喰い獏とは異なり、瑞希は心理学を学んでいるため人の感情をよく理解しており、その結果、患者から受ける負の感情をすべて感じている[3]。
瑞希は、人が真の幸福を得るためには、自分自身の核となる葛藤に立ち向かわなければならないという信念を持っており、その哲学は、娯楽や逃避という八重神子の視点と対立する。しかし、瑞希はこの話題について友好的に話し合うことができ、彼女の冷静さとオープンマインドを示した。彼女は内省的で自己認識能力が高く、八重巫女に対する自分の劣等感や、それに伴う謙虚さや向上心を認識している[4]。同僚のようにストレスで心が折れてしまわないよう、先を見越して予防策を講じ、自分自身にセラピーを施し、感情的な面と理性的な面のバランスを取っている。また、社会との親和性が高く、江村中弥のように気難しい患者を診ることができるなど、仕事の腕前もかなりのものである[3]。
容姿
エラー:ページ名を入力してください (ヘルプ)。 夢見月瑞希は、色白の肌にブルーのグラデーションのロングヘア。毛先をカールさせ、扇のような飾りをつけた2つの飾り饅頭が目立つ髪型をしている。 紫色の虹彩にらせん状の瞳孔を持つ垂れ目。
公式紹介
どう説明すればいいかのう?ふむ…簡単に言うと、面白いがあまり可愛くないやつじゃ。稲妻で最も優秀な心理療法士と言われるだけあって、あやつは人の心を見抜くのが得意じゃが、自分の考えはいつも隠し通しておる。旧友の妾にも分からぬほどじゃ…あやつに会ったら、何を考えているか当ててみるがよい。
—八重神子
稲妻には古くから伝わる伝説がある——運が良ければ、夢うつつの時に夢喰い獏という妖怪に出会える…というものだ。その妖怪は夢に入り、絡みつく悪夢を食べてくれるのだという。
時は流れ、伝説の妖怪は人間社会に溶け込もうとしていた。「秋沙銭湯」が投資者を得て営業を再開した後、人間の少女の姿に化けた夢喰い獏たちは、心理療法士として活躍するようになったのだ。
中でも特に優秀なのが「夢見月瑞希」だ。どんなに悩んでいた客も、彼女の治療を受ければ、楽しい気持ちを取り戻して帰っていく。経営再開からわずか数ヶ月で、彼女にまつわる良い口コミは「秋沙銭湯」を守る最強の砦となった。
治療の効果は、夢喰い獏一族の能力と関係していると思われる。しかし夢見月瑞希は微笑むだけで、否定も肯定もしない。その笑顔の裏に隠された、かすかな疲労感に気付ける者は、ほんの一握りだろう…
キャラクターストーリー
キャラクター詳細
稲妻人にとって「秋沙銭湯」と言えば、ナタの温泉に触発され、輸入設備を仕入れて造られたあの人工温泉だ。「心身を癒すならあそこが一番」と評判の施設である。
つい最近行われた大規模な改築では、「心理療法」という新たなサービスが始まり、瞬く間に称賛の口コミが広がった。
客を迎えてくれるのは、留学から帰ってきたばかりの心理療法士——夢見月瑞希である。ぽかぽかの湯と、えも言われぬよい香りのアロマ…そこに不思議な妖力を組み合わせ、人々の意識の奥底に宿る不安を取り除くのが、夢喰い獏である彼女の仕事だ。
そんな彼女が実は「秋沙銭湯」の大株主——つまり温泉開発当初の主な出資者であり、改築を推し進めた責任者でもある…という事実は、まもなく人々の知るところとなった。
しかし、多くの者がイメージする「大株主」とは違い、彼女はあくまで職員の一員として、自ら客と接する。プロの心理療法士らしく、丁寧に診察を行い、的確な治療を施し、誠心誠意を尽くすのである。
悪夢の苦しみから解放された人々を通じて、瑞希の評判は急速に拡散されていった。
老人たちの中には、幼い頃、寝る前に聞かされた「夢喰い獏の物語」に、いつも夢見月瑞希の名が登場していたことを思い出す者もいるだろう。
しかし、瑞希のさっぱりとした親しみやすい性格と、昔話に出てくる妖怪のイメージを結びつけるのは難しい。
ところで、「秋沙銭湯」は瑞希の事業計画の第一歩にすぎない。彼女は少しずつ事業を拡大し、ゆくゆくは稲妻人の心の健康を支える複合的な娯楽サービスを提供したいと考えているのだ。
そのために、妖力以外の治療法——例えば、心を落ち着かせるスロースポーツや、活気あふれるアミューズメントパークに食事療法、そして人々に感動を与える伝統的な遊芸など、様々な構想を練っている。
瑞希のことをまだよく知らない職員が、彼女の予定表を見て心配になるのも無理はないだろう——「オーナーなのに、こんなに働いて…疲れすぎて心を病んだりしないのかな?」
キャラクターストーリー1
好感度Lv. 2
幾千もの伝説に登場する妖狐や、凛々しい天狗、人々に恐れられる鬼族に比べれば、「夢喰い獏」は名こそ聞くものの、有名だとは到底言えない。
「百物語大会」の席で、夢喰い獏たちは決して注目されるような存在ではない。片隅で静かに茶を飲んだり、ほかの妖怪とともに強者の雄弁に耳を傾けたり、あるいは有楽斎のような文学者に茶や酒を注いだりするのが常だった。
まだ幼獣であった頃、夢見月瑞希が宴会に参加する一番の楽しみは、友人の八重神子——こちらも当時は子狐の姿だった——が才能を余すところなく発揮する場面を見物することだった。
神子が狐斎宮のお姉さんの肩に乗って、有楽斎と三百回にもわたる議論を交わすところを見ていると、いつの間にかいつもの何倍もの菓子を平らげてしまう。相手の話の矛盾を見事に見つけてみせる神子の凄まじい思考力に、思わずうんうんと頷きながら、神子の言葉を丸覚えしたりもした。
翌朝は決まって神子を訪ね、心を込めて用意した油揚げを、軽くあくびをする神子の前に差し出す。昨晩、語り尽くせなかった話の続きをするためだ。
崇拝とも言えるその熱意に、神子は内心引きながら、ふわふわの尻尾で優雅に顔の半分を隠し、話題を逸らした——「ラーメンでも食しにゆくか。」
カラス大将の営むラーメン屋台の前で、影向山の南にある一番立派な櫻の木の枝の上で、夕日に照らされた浜辺で…小さな狐と幼い夢喰い獏はいつも、一緒に色んなことを語り合った。
夢の奥底に隠された秘密さえも、互いに分かち合う宝物となった。
しかし、「白辰狐王の血統」の継承者である神子には大きな責任があった。彼女が成長と共に背負わなければならなかったものは、重すぎる任務だった。
神子と瑞希が相次いで術を会得し、人の姿に化けられるようになってからは、凡人と同じように、生活の波に押し流され、交流も次第に減っていった。
神子はお隣さんである狐斎宮の指導のもと、奥深い妖術の修行に身を投じた。鳴神大社の巫女たちに囲まれて宮司の八百八十条の規則を読み上げ、大妖怪の間を行き来しながら、白辰狐王の血統を継ぐ新星として、妖怪の世界における一族の地位を確固たるものにしたのである。
神子の世界は、いつか瑞希とともに眺めていた遠い海のように、波乱万丈で変化に満ちたものだった。危険と挑戦は至る所に潜み、変数とチャンスを待ち構えていた。
一方、瑞希は静かで穏やかな生活を送っていた。一族と共に農業や織物によって生計を立て、決まった時間に外を巡回しては、助けを求める人々のために悪夢を喰う日々…
それは小川が流れ込む湖のように静かで、いささか味気のない日々であった。
二人が外で戯れる時間は減り、やがて月に一度ともに過ごすという約束も、かなえるのが難しくなった。
しかし、瑞希は残念だとは感じなかった。
朝、ともに出掛ける束の間の時間、瑞希が油揚げを差しだすと、神子は親友だけに見せる心からの笑顔をこちらに向けてくれるのだから。
瑞希は自覚している——神子が背負っている責任の十分の一も、自分には背負えないだろう。神子のそばに並んで歩いているだけで、周りからの視線に圧倒されてしまうほどなのだから。
「静かで目立たない脇役でいい。神子が必要な時に安らぎを与えられるなら、それで満足」…そう思っていた。
キャラクターストーリー2
好感度Lv. 3
しかし、穏やかな日々は続かなかった。
あの日、土砂崩れのごとく襲来した漆黒の災厄。妖怪も凡人も邪悪な力に呑み込まれ、島々に絶望の慟哭が響き渡った。
戦いが不得手な夢喰い獏たちは、逃げるほかなく、災厄の目が届かぬ隅に、慌てて身を隠した。
やがて将軍の手によって最後の脅威が斬り除かれた後、未だ冷めやらぬ恐怖を抱えながら戻ってきた瑞希たちが見たのは、廃墟へと変わり果てた故郷だった。
瑞希は、無我夢中で友人を探し回った。行く先々で、絶望に満ちた別れの場面が目に入った。
やがてついに、友人を見つけた。目に飛び込んできたのは青白い顔に微かに涙の痕を残した神子の姿だった。神子は光を失った瞳で、枯れかけた神櫻に頭を下げ、祈りを捧げていた。狐斎宮の姿はどこにもなかった——
その後、準備も整わないまま、神子はすべての責任をその身に背負うことになった。瑞希がよく知っていた神子は、あちこちから尊敬を集める「八重宮司」となったのであった…
毎朝ともに出掛ける日々も、ついに終わりを迎えた。——鳴神大社の復興作業は山積みで、神子は神社に缶詰状態になってしまったのだ。
一方、夢喰い獏たちも、殺到する依頼に慌ただしい日々を過ごしていた。戦火が通り過ぎた稲妻は、心身ともに深く傷ついた者だらけだったからだ。
災厄は一時的に退けられたものの、恐怖の記憶は妖怪や人間の脳裏を離れず、夢の奥底にまで根を張った。その記憶は毎晩のように恐怖を呼び起こし、主の意志を蝕んだ。
それはあまりに強烈で、夢喰い獏の長老でさえ処理しきれないほどだった。何人かの幕府の兵士の悪夢を処理した後、長老はいよいよ倒れ、昏睡状態に陥ってしまった。数か月もの時を経て、何とか長老は目を覚ましたが、過労がたたり、引退を余儀なくされた。
無名だった夢見月瑞希が、頭角を現しはじめたのはこの頃だった。被災者の意識の中から漆黒の猛毒を引きずり出すのは、刀に切り裂かれ、炎に焼かれるような痛みを伴う行為だが、幸い半年近くも昏睡し続けるような事態は免れた。
そんな瑞希の存在は、被災者にとっての希望だった。瑞希は皆の心から悪夢の苦しみを取り除き、ふらつく身体を支えて帰って来ては、静かな場所で独り苦痛を落ち着かせて過ごした。
あるいはこの頃が、彼女にとって一番苦しい時期だったかもしれない。長らく被災者と苦痛をともにし、黒に紫が混じったようなぬばたまの闇がいつまでも目の前に広がっていた。それはまるで傷口から流れ出す血のように、溢れて止まらなかった。
そんな時でさえ、瑞希は心の奥にいつも親友の姿を描いていた。もう耐えられないと感じても、あの櫻の色を想えば理性が呼び戻されるのだ。
「神子は宮司として将軍に協力し、現実の問題を解決する責任を負っている…なら、あたしはみんなの心を癒すという責任を果たそう!」
そうして自分を奮い立たせながら、仕事に没頭し続けた。
ふと気付くと…百年もの時間が過ぎていた。
より多くの患者を治療し、後遺症にも対処できるようになった頃…かつてよく知っていた神子は宮司としての経験を積み重ね、群衆に対して皮肉っぽい笑みを浮かべることが多くなっていた。
心を許せる親友同士だったはずの二人なのに——久しぶりのあのラーメン屋台で、彼女たちの会話は幾度か滞り、やがて沈黙が舞い降りた。
しばらく考え込んだ末に、瑞希が選んだのは「妥協」だった。そして、こう自分に言い聞かせた。
——あの災厄が神子にもたらした衝撃はあたしなんかよりもずっと大きかったはず。鳴神大社の宮司という大任は、一般の妖怪には想像もできないほど大変だったと思う。
波のように押し寄せてくる色んなことに対処するために、冷静さという棘を纏うほかなかったのかも——
見る風景が違えば、感想も異なってくるものだ。
少なくとも、二人はそれぞれの立場で責任を全うしている。今のすべては、互いに最善の選択をしてきた結果なのだ。
相手を心の拠り所にし、いつまでも記憶の中の姿のままでいてほしいと願うのは、互いにとって枷にしかならないだろう。
何の憂いもなく自由だったあの頃にはもう戻れないのだ。それぞれの道へ進むならば、見苦しい姿など見せず、潔く向き合ったほうがいい。
昔の思い出は、心の奥深くに…大切にしまったままで——
キャラクターストーリー3
好感度Lv. 4
悪夢にも様々な種類がある。心身ともに健康な人も、たまに暗い感情に囚われることがある。そんな時の悪夢は、夢喰い獏にとって普通の食糧だ。しかし病に苦しんだり、重い傷を負ったりした人の悪夢の場合は別だ。「味のない麵麭のようだ」と彼らは評するが、実はそこには、毒のような危険が潜む。
何せ、夢喰い獏の中でも一番の凄腕と評される瑞希でさえ、そういう悪夢を食べ過ぎると、かなりのあいだ苦痛に苛まれるのだ。
癒やし手が患者より先に倒れることがあってはならない——瑞希は悪夢を吞み込み前に、妖力以外の方法で負の感情を浄化できないものかと考え始めた。
そこで、災厄の影響を完全に抑えられたと確信したタイミングで、瑞希は外国へ旅立った。独自の「心理療法」システムを築くために、最先端の医療を学ぼうと思ったのである。
モンドでは、冒険者協会の協力を得て「後遺症専門アドバイザー」として働きながら、貴重な臨床経験を積んだ。
璃月では、沈玉の谷の医者のもとで学び、気分を落ち着かせる薬草の栽培や用法について詳しく学んだ。
スメールでは、先述の薬草の知識を活かして、アロマを取り入れた治療法を開発した。それは現地の香炉からインスピレーションを得たものであった。患者をリラックスさせ、より早く眠りへと導くことで、良い効果が得られるのだ。
フォンテーヌでは、「科学院」の医学理論を学んだ。前衛的な映影技術に触発され、図形学と心理学との不思議な関係性も研究した。
そして——長年にわたる遊学の終点はナタの南部、活気あふれる「流泉の衆」だった。
そこで瑞希は「温泉の勇士」たちに心温かく迎えられ、自分たちと同じく漆黒の災厄と戦った者たちの勇敢さを目の当たりにした。
ムアラニとの出会いは特に鮮烈だった。子供たちと元気に遊んでいた見知らぬ少女が、勢いよく瑞希の懐に突っ込んできたせいで、二人は抱き合ったまま温泉に落ちてしまったのだ。無鉄砲なムアラニの第一印象は、この先も忘れられないだろう。
しかしムアラニの明るい性格は、恐ろしい敵を前にした時には頼れる盾となった。戦いの後も、瑞希の診る限り、トラウマを抱えた様子はなかった。
興味をもって詳しく調べた結果、瑞希は自分なりの結論を得た。心の健康を保つためには、強い意志も大事だが、メリハリのあるライフスタイルが重要なのだ。
思う存分日々の生活を楽しみ、情熱を注ぎ込む。そしていざ敵が現れた時は、迷わず前線に出て痛快に戦う。これこそが、ナタの戦士が健康な心を保つ秘訣なのかもしれない。
「思い切り遊んで、思い切り戦う。ゲームに挑戦するのと同じように、落ち着いて人生の困難を乗り越えていくってことかな。」
そう考えて——瑞希は閃いた。「娯楽事業」というのはどうだろうか?稲妻に生きる者たちの心の健康を支える手段として、様々な娯楽を提供するのだ。
瑞希は「流泉の衆」の温泉とマリンスポーツ、「懸木の民」のクライミングなど安全が確保できるエクストリームスポーツに注目した。「豊穣の邦」のトレーナーを雇って、ジムを作るのもいい。構想を現実にするための協力者はすでに見つけていた。こうして瑞希の事業計画は動き始めたのだった…
キャラクターストーリー4
好感度Lv. 5
稲妻には夢喰い獏に関する、美しい言い伝えがある。「彼らは自身については欲がないが、他者に助けを求められれば必ず応じる」というものだ。
瑞希はその典型的な例と言えるだろう。悪夢から人々を救って来た豊富な経験をもちながら、ネームバリューを診療費に加算することもない。むしろ、ずいぶんなお手頃価格だ。
彼女は基本的に、患者の時給を二分の一した金額に、治療の時間を掛けた値を提示する。診療費がラーメン一杯分しか入らないこともあるが、彼女が文句を言うことはない。
ただでさえ苦しんでいる患者に、経済的な面でも追い打ちをかけるわけにはいかない、というのが瑞希の持論なのである。
一方、財力のある患者に対しては、相手に値段を提示してもらう。「キミが妥当だと思う値段でいいよ」と。
瑞希に対する尊敬の念からか、それとも自身のメンツを保つためか…大抵の場合、裕福な患者が提示する値段は相当な額だ。
このような方針はさらなる好評を呼び、診療予約はどんどん増えていった。一週間休みなく働くこともしばしばである。
患者の悪夢を食べることは、例えるならば大盛りの米を食べるのと同じだ。不純物となる毒がさほど強くなければ、妖力や体力の補給となる。
普段の暮らしで、瑞希は自分のためにモラをほとんど使わない。せいぜい、簡素な服を何枚か調達し、偶にお手頃な甘味を食べるぐらいだから、大した生活費はかからないのだ。
休暇も取らず仕事に打ち込み、消費欲も支出額もほぼゼロ。そんな生活を何百年も続ければ、貯金額はいかほどになるだろうか…?参考になる事例は見つかりそうにない。
疑問はさておき——瑞希のこの貯金が、投資の財源となった。
鎖国期間中は稲妻に帰れなかったため、「秋沙銭湯」の成果を自ら検証することはかなわなかった。他の事業も企画段階で動きのないまま、実現の目途は立ちそうになかった…
しかし、だからといって手をこまねいていられる瑞希ではない。彼女は老若男女に受け入れられるサービスを模索するため、常にテイワットの最先端の流れを把握しようと努めた。
新時代の理論に触発され、瑞希は診療行為の堅苦しいイメージを刷新し、患者にリラックスしてもらうために様々な対策を進めた。できる限り医学的な表現を使わないよう工夫し、「患者さん」ではなく「お客さん」と呼ぶことにしたのだ。また、診療行為に娯楽的な要素を取り入れるなど、細かい気配りを惜しまなかった。
稲妻に帰ってから、瑞希は知名度を上げるため、フォンテーヌで学んだ映影の知見を活かし、自ら出演する「広報番組」を制作した。
写真機の前では何度も失敗し、時に緊張のあまり過呼吸の症状が出ることもあった。それでも、新たな診療法を広め、一日も早く皆を苦しみから解放してあげられるなら、すべての努力は報われると思った。
そんな瑞希の前には、パートナーとしての極めて高い潜在力を持つ「同業者」の存在があった。
幼馴染の神子が経営する、「八重堂」である。
キャラクターストーリー5
好感度Lv. 6
患者のストレスを解消するには、悩み事と少しずつ向き合わせるべきか——それとも不安を取り除くことを最優先に考えて、患者を慰めるべきか。
悪夢の問題を解決するために、妖力を使い続けては、いずれ他の問題を生むのではないか。
現実の問題を解決できなかった場合、症状が再発しないようにするにはどうすればよいか。
……
…百年に渡る長旅を終えて、瑞希は神子と多くのことを語り合った。
子供時代、お馴染みの場所だったあの櫻の木の下に布を敷いて菓子を並べた小さなお茶会は、朝から夜まで続いた。
友人との再会に喜びつつ、二人は理性的な議論も重ねた。
娯楽は純粋であるべきだと、神子は考えている。患者が自ら楽しさを追い求め、明るい気持ちで頭の中を満たせれば、負の感情を追い出せるかもしれない…
一方、「楽しさを追求」することはあくまで手段に留めるべきというのが、瑞希の考えだった。問題と向き合わなければ、心の平衡を失う恐れがあるからだ。
穏やかな時間が終わる頃には、二人はお互いの考えを受け入れていた。稲妻の民の悩みを解消する新たな仕組みを、相手は自分と異なる方法で実現してくれるのだろうと理解したのだった。
瑞希の見解では、「八重堂」は娯楽小説をはじめとする様々な文化的商品を娯楽の一種として提供し、読者に数々の美しい世界を見せることで、彼らに生きる希望とモチベーションを与える存在だ。
しかし、それらの商品を楽しむためにはある程度の条件が必要だ。疲れ切った者、心を病んだ者は、集中して本を読んだり、考えたりできなくなってしまうからだ。
また、娯楽小説の作り上げる幻想世界に浸りすぎると、現実の問題から目を背けてしまうことも有りうる。
瑞希が思い描く事業は、夢喰い獏一族の難題を処理できるだけでなく、この「残った問題」を解決することができるものであった。
作品を楽しむ余裕のない者を癒し、新しい楽しさを見いだせるよう手伝ったり…
作品に傾倒しすぎた者を導き、自分の心に目を向けさせたりするのが彼女の役目だ。
そうすれば、毎日働かねばならない普通の者から、博識な文化人まで、稲妻の誰もが、気分をよくする方法を見つけられるはずだ。
瑞希は、簡単には解消できない重い感情や、細かい処理を必要とするトラブルに対処する時にだけ、夢喰い獏の妖力を使って夢の中の穢れを消す。
理にかなった方法だ。
ただ、深掘りなどせず憶測ばかりなのが噂というものだ。出所は分からないが、帰国子女である秋沙銭湯の大株主が新たな産業を持ち込み、八重堂に宣戦布告したという噂が広まった…
噂が独り歩きした末に、『幼馴染との商売合戦』という作品まで生まれ、あっという間にかなりの注目を集めたほどである。
噂はやがて本人の耳にも届いた。瑞希は一瞬呆気にとられたものの——すぐに微笑んだ。
——まあ、いいんじゃない?
神子は言うまでもなくこういう噂を好むし、瑞希も事業を拡大し、親友を追い越したいと考えているのは事実だ。
こうして両者の默認のもと、親友同士だった彼女たちは、心通じ合う「ライバル」になったのであった。
やっちゃんとてっちゃん
好感度Lv. 4
瑞希の傍にはいつも、二体の小さな夢喰い獏がいる。
普段、夢喰い獏たちは助手のように、瑞希に飲み物を作ったり、料理したり、必要な物を持ってきたりしてくれる。
戦闘の際も、応援したり、魔物と戦ったりと、瑞希を助けてくれるのだ。
瑞希はその子たちを「やっちゃん」、「てっちゃん」と呼んでいる。「安らぎ」を保ち、理性を「徹底」するということから採られた名前だ。
実はこの小さな獏たちは、瑞希の同族ではない。二体は彼女の妖力が具現化した存在であり、彼女自身の精神や知恵と繋がっているのだ。
患者の憂い、不安、恐怖を全て受け止める心理療法士だが、彼女たち自身の負の感情をケアしてくれる者はいない。時が経てば、心の傷は広がり、いつか崩れ落ちてしまう可能性もある。
瑞希は何度も、心が壊れてしまった同業者を見てきた。横になったまま起き上がれなくなる者もいれば、思考能力を失ってしまった者もいた。彼女たちの轍を踏まないようにと、瑞希は心に決めている。
だから彼女は、自身にも治療を施す。
感性溢れる自分は、たやすく患者に共感できるが、一方で自身の心まで敏感になり、脆くなってしまう…
逆に理性を貫く自分は、あらゆる問題に対して論理的な判断ができるが、感情に乏しく、人間味に欠ける…
瑞希自身の相反する心が具現化した存在である小さな夢喰い獏は、それぞれに欠点を持つ。瑞希が治療を施すときに二体が提供してくれるアドバイスは、時に極端すぎて、よくない結果を招くことがあったのだ。
治療が終わった後、瑞希は二体の夢喰い獏を慰めた。しかし、二体はまるで鏡の中の自分だ。この子たちを見ていると、その対照的な両面を見ているようで、見落としがちな大事な問題点を分析することができた——
例えば、問題に対処する中で、敏感になりすぎていると感じたら、広い視野を持つ者のように、ある程度の無情さもいとわない。
人と会話する中で、自分の冷たい態度が相手の気分を害していると感じたら、共感的な視点をもって、論理と感情の塩梅を調整する。
てっちゃん、そしてやっちゃんとの交流は、瑞希の心の「バランス」を保つためのカギでもあるのだ。
百年もの間そうして調整し続け、多くの患者を見てきたからか、二体の思考は今や、両極端ではなくなった。大半の場合は、瑞希と同じように、感情と理性のバランスをよく保っている。
やっちゃんが感情移入しすぎて涙を流すことがなくなり、てっちゃんが患者を厳しく説教しなくなった頃には、どれほど強い負の感情も、瑞希の心を揺るがすことはなくなっているだろう。
神の目
好感度Lv. 6
どんなに美味しい料理であっても、毎日三食、百日も千日も同じものを食べれば、味が分からなくなるだろう。
しかし瑞希にとって、味の薄い悪夢を食べられることは、一種の幸運だ。
キッチンが爆発した後の副産物のように、様々な調味料がごちゃ混ぜになった味がする悪夢もあった。燃え尽きた炭の苦味や、錆びた鉄の味、さらに強い酸味まで——
では、「良い夢」はどんな味がするのだろうか。
良い夢の味を知っている夢喰い獏はほとんどいない。なぜなら、夢喰い獏の一族にはこういう暗黙の掟があるからだ——「許可なく他人の美しい夢を食べるべからず」。
心理療法士になって十年目の頃、瑞希はようやく良い夢の味を知った。
瑞希の治療を受けて完治した女の子が謝礼を持ってやってきたのだ。おしゃべりをしている中で、女の子は突然思いついたように、自分のカラフルな夢を瑞希に共有したいと提案してくれた。
それは無邪気で元気いっぱいで、色鮮やかで幻想的な夢だった。その心地よくて温かい、繊細な甘さは瑞希を夢中にさせた。
それ以来、瑞希は甘いものにハマった。そしてある日、ふと大胆な考えが芽生えた。
もしかすると、美しき夢こそが人々の負の感情を解消する解毒剤なのかもしれない——
もし妖力で良い夢を作り出せれば、それは患者の心を癒す素晴らしい薬になるだろう。
それに…たまに、とっておきの美味しいご褒美にすることも出来るかも…?
だが、夢喰い獏は物を創造する能力など持たない。そもそも良い夢というのは人々の願いが反映されたものであり、再現の難しい儚いものだ。それを無から作るなど、とてつもなく贅沢な望みである…
人々の願いはそれぞれ違うため、万能の夢を作る「レシピ」などない。だが、本心を知るために、人々の心の奥底にある秘密を探るのはご法度だ。かえって、緊張や不安を与えてしまう可能性すらある…
結局、残念ながら、瑞希は解毒剤を作り出すことができなかった。
しかしながら、長い探求と研鑽の日々は無駄にはならなかった。瑞希はついに報われたのだ——
疲れ果てたある夜のことだった。彼女は幼獣であった遠い昔に戻って、親友とラーメンを食べる夢を見た。
薄い煙や柔らかな風のようなその夢は、人々の見る美しい夢とどこか共通点があるようだった。
束縛から解き放たれ、自由に、のんびりとする時間…
その時、透き通った神の目が静かに瑞希の枕元に現れた…
その後、この夢の影響で、瑞希は考え方を改めた。
人々を穏やかで温かい夢へと導き、大切なものへの記憶を呼び起こそうと思ったのだ。
心に秘められた大切なものは、必ずいざという時に蘇り、夢を彩る。そうなった時、人は最も美しい夢を見られるだろう。
名刺の飾り紋
夢見月瑞希・悪夢喰 | |
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取得: 夢見月瑞希の好感度がLv.10に到達後獲得。 記述: 夢喰い獏は悪夢を食し良い夢を残すというが、夢の捉え方がすべて逆だったとしたら?こういった不安に対して、彼女は優しく言った——本当に良い夢は、何があろうと良い夢のままのはずだよ。 |
命ノ星座
任務とイベント
キャラお試し
キャラクターの紹介
キャラボイス
キャラクター | ボイス |
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メール
履歴
豆知識
語源
- 夢見月(ゆめみづき)とは、旧暦3月21日から4月20日にかけての月を指す。
その他の言語
キャラ称号: 睦み合う綺羅の夢
言語 | 正式名称 |
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日本語 | 睦み合う綺羅の夢 Mutsumiau Kira no Yume |
中国語 (簡体字) | 绮梦缱绻 Qǐmèng Qiǎnquǎn |
中国語 (繁体字) | 綺夢繾綣 Qǐmèng Qiǎnquǎn |
英語 | Embrace of Enchanting Dreams |
韓国語 | 아름답게 얽힌 꿈 Areumdapge Eolkin Kkum |
スペイン語 | La Dulce Soñadora |
フランス語 | Étreinte de rêves enchanteurs |
ロシア語 | Объятие волшебных снов Ob"yatiye volshebnykh snov |
タイ語 | ห้วงนิทราคะนึงฝัน |
ベトナム語 | Ảo Mộng Trùng Điệp |
ドイツ語 | Umarmt von süßen Träumen |
インドネシア語 | Embrace of Enchanting Dreams |
ポルトガル語 | Sonhos Entrelaçados |
トルコ語 | Büyüleyici Düşlerin Elçisi |
イタリア語 | Intreccio di sogni incantevoli |
脚注
ナビゲーション
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