「流泉の衆」の次世代を担う優秀なガイド。ナタを旅したいなら、きっと最高の道連れになってくれるだろう。
—公式サイトより抜粋[1]
性格
ナタ中に名を馳せるガイドであり、マリングッズ店の経営者でもある、さまざまな水上スポーツに精通した波追い人。
—ゲーム内のキャラクターステータスとプロフィールページの紹介文
ムアラニは陽気な若い女性で、彼女の部族の他の多くの人々と同じように、友人を作り、他人の長所を引き出すことを楽しんでいる。ウォータースポーツ、特にサーフィンに熱中する。彼女は初対面の人ともすぐに打ち解け、「まだ会ったことのない人は、まだ会ったことのない友だちにすぎない」と言う。特に旅人とパイモンにはその傾向が強く、2人に会うとすぐに仲良くなり、自分の部族に招待してもてなしを受ける。カチーナとは非常に仲が良く、カチーナのチームが彼女を見捨てたことを知った後、キィニチのために元のチームを去ったり、帰火聖夜の巡礼の進行を手助けしたり、夜巡者の戦争[2]への出場権を獲得したことを祝福したり、夜巡者の戦争から帰還できなかったカチーナを夜神の国から救出するために即座に志願したりするなど、彼女の成長を励まし、困った時には助けてくれる[3]。
彼女は商売も営んでいるが、ムアラニはどちらかというとのんきな性格である。彼女は店を開けっ放しにしているが、しばしば無人になり、カウンターにモラを置いていく限り、人々が欲しいものを何でも持っていくのを許している。
気楽な性格とは裏腹に、ムアラニは熟練した戦士でもあり、多くの巡礼に参加し、夜巡者の戦争では「反魂の詩」を必要とせずに3度の戦果を挙げている。
容姿
ムアラニは中背の女性をモデルにしている。彼女は日焼けした若い女性で、青い目は魚の形をした瞳孔のあるオレンジレッドに褪め、白い髪は水色に褪め、髪の裏側からは細長い三つ編みが2本出ており、ポニーテールには青い筋が入っている。
公式紹介
あのコが行きたいところで、辿り着けない場所なんてナタにはない。なのにどうして毎回出発する前にいちいち吉凶を聞きに来るのかしら。ま、いっか。このさき十年の吉日をゼンブ占ってあげたから、しばらくは静かに過ごせそうね。
—シトラリ
ナタをどれだけ熟知しているか、という観点から見れば、大地を見下ろす鳥でさえも「流泉の衆」のガイドにはかなわないかもしれない。遥か昔、「流泉の衆」の先人たちは自らの両足で世界を測り、複雑に折れ曲がる数々の道をシンプルな線で地図に落とし込んだ。
「流泉の衆」の次世代を担うガイドとして、ムアラニの名声はすでにナタ全土に広がっている。彼女が計画するルートでは、火山が爆発する壮観な景色やエンバーコアフラワーの放つ大自然の香り、さらにコホラ竜の即興パフォーマンスまで楽しめるようだ…しかし、もし急用で早く目的地にたどり着きたいというのなら、彼女もより安全でスムーズに進める近道を案内してくれるだろう。
ただし、ムアラニはこんな考え方の持ち主だ——「ルートなんてみんな知ってる。大事なのは一番運のいいタイミングで出発することだよ。出発日を適当に選ぶのって、すっごく不吉なんだから!」
キャラクターストーリー
キャラクター詳細
初めて「流泉の衆」を訪れた人が、水泳やサーフィン、ダイビング、水球…といったこの地で人気の水上スポーツを体験したいと言えば、きっと誰もがムアラニを紹介するだろう。
ムアラニが経営するマリングッズショップ「プクフグスローライフ」の商品デザインはどれも洗練されており、品質も抜群。また本人はガイドを務めるほど豊富な知識を持っている。お客さんのためなら、彼女は熱心に「幸運をもたらしてくれる」デザインやカラーを選んでくれる。それだけでなく、その人に合った温泉や快適な海水浴場、綺麗なビーチを勧めてくれるため、楽しいバカンスを過ごせるだろう。
また、野外や秘境探検に興じている冒険者であれば、少しお代を上乗せすることで、ムアラニが自ら道案内をしてくれる。次世代のガイドたちの中でも突出した実力を持つムアラニは、豊富な野外知識とガイド経験を持つ。安全かつ確実に目的地へたどり着きたい、あるいはドキドキに満ちた旅をしたい観光客がいたら、いずれもムアラニがその望みを叶えてくれるはずだ。
「旅で何よりも重要なのは、目的地へ向かう道中を楽しむこと。そして、運が回ってきたタイミングで出発することだよ~!」
キャラクターストーリー1
好感度Lv. 2
「流泉の衆」にしばらくいた人であれば、そこの住人であれ観光客であれ、ほぼ誰もがある少女に目を奪われた経験があるだろう。
たとえば、海辺で静かに日光浴を楽しんでいる時、ふいに遠くから「ヤッホー!」という声が近づいてきたかと思うと、その直後サーフボードに乗った少女が海からとてつもない勢いでビーチに上陸し、辺り一面に砂を舞い上がらせる。
また、ビーチバレーボール大会を観戦していると、一人の軽快な動きの少女が大声でチームメンバーを鼓舞している姿が目に入る。しかし次の瞬間には、飛び上がってボールを力強く相手に打ち返す。彼女が興奮して張り上げた、波しぶきをも震わすような声が聞こえてくるはずだ。
またあるパーティーで、初対面の招待客たちが小声で雑談し、少々気まずい雰囲気になった時、彼女はまるで大スターのように堂々と登場し、高らかにこう言うのだ。
「どうしたの、みんな静かすぎるよ!音楽が流れたんだから、一緒に踊ろうよ!」
言い終えるやいなや、彼女は音楽とリズムに乗り、会場の真ん中で踊り始めるのである。周囲の者もそんな彼女の情熱に染まっていき、次第に踊り出す…
もし周りの人に彼女のことを尋ねれば、すぐにムアラニという名を知ることができるだろう。
その後マリングッズを買いに店へ赴けば、再びあの朗らかな笑顔を見ることができる。
もともとサーフボードを買うだけのつもりだったとしても、もれなく彼女から「流泉の衆」の各地にある温泉の場所とそれぞれの良さ、そしてサーフィンをする際の注意事項やどこに行けば彼女のコホラ竜と出会えるかといった情報までも知ることができるはずだ。無論それだけでなく、彼女は幸運をもたらしてくれるからと、青いサーフボードを勧めてくるだろう。
そこで「実は以前、君に会ったことがあるんだ…」と言って、挨拶をしてみたとしよう。
すると「あっ、友達だったんだね!じゃあ今回は四割引きしてあげる!サーフィンを勉強したかったら、またあたしのとこまで来てね!」と言ってくれるはずだ。
そうして本来、数日だけバカンスを楽しむつもりだったにも拘わらず、結局数か月もその地に滞在することになるのだ。きっと、その間にいい友達になれるはずだ。そして好奇心から、どうして誰に対しても、それこそ初対面の人にもそこまで親切になれるのかと尋ねれば、こう返ってくるだろう。
「う~ん、それはたぶん…この世界の人には、もう友達になった人とまだ出会ってない友達の二種類しかいないって思ってるからかな!」
少し考えた後、ムアラニはそう言ってとびっきりの笑顔を見せるのであった。
キャラクターストーリー2
好感度Lv. 3
ムアラニの両親は大成功を収めた貿易商だ。二人はナタでの貿易販路のみならず、外国の商人たちとの協力関係も築き上げていた。
ムアラニがまだ幼い頃、両親は常に仕事に追われていた。ほとんど家にいない時もあったほどだ。そういう時、ムアラニは飼っている仔犬と街を散歩したり、部族にいるほかの子供たちと様々な水上スポーツで競い合ったりして遊んでいた。
しかし、休日になれば一家は必ず家の中を飾り付け、ご馳走を作って家族団らんを楽しむ。
そんな一家全員がそろった食卓で、ムアラニは両親にこんなことを伝えたことがある。自分も忙しそうにしている両親の仕事を手伝いたい。そうすれば温かな家族の時間が増えるはずだと。
「あたしの性格は絶対商売に向いてるって色んな大人から言われてるんだよ」とムアラニは言った。
しかし母親は、娘には様々なことに挑戦し、様々なものを見てから自分のやりたいことを決めてもらいたいと考えていた。
父親も、本当に商売をしたいと思えるようになってから家業を継いでも遅くはないし、ほかにもっとやりたいことが見つかれば、自分たちは全力で応援すると言った。
それからムアラニは言われた通り、様々な場所へ足を運んだ。さながら鳥のように、軽やかにナタの山々と峡谷を越えていった。遠くにある風景は確かに魅力的だった。しかし海辺で育った小鳥は飛び回るにつれ、いつしかあの海風が運んでくる潮の匂いを常に恋しく思うようになっていた。
そして家に戻った彼女は様々な水上スポーツを遊び、装備を研究し始めた。今の装備に満足できず、自ら改造をして性能を引き上げていくのと同時に、ラッキーカラーや個性的な模様を塗装するようにもなった。
彼女のこの行動によって、やがて一つの流行が生まれた。ムアラニが何かしらの装備を変えるごとに、周りの人たちはこぞってそれと同じスタイルを求めた。その要望すべてにムアラニが応えていったこともあり、いつしか「装備屋さん」としてそれなりのモラを稼ぐようになった。
こうしてできた「プクフグスローライフ」は開業して以来、水上スポーツ愛好家たちが集う場所になった。もちろん水上スポーツを好む者もいるし、装備のほうを好む者もいる。
いずれにせよ、ムアラニはだんだん商売を楽しいと思うようになった——好きな物を買った人は、まるで宝物を手にしたかのように笑顔になり、それはキラキラと輝くモラよりも眩しい。
しかし、これがムアラニの一番やりたかったことなのかと訊かれれば、彼女はきっと頭を掻きながらこう言うだろう。
「まあ、人生はまだ長いんだしさ、いますぐゴールを決める必要はないよ。進む足さえ止めなければ、これからもずっと違う景色が見られる!そうじゃないとつまんないじゃん!」
キャラクターストーリー3
好感度Lv. 4
以前のムアラニは旅をする際に一切計画を立てなかった。辿り着いたその場所で彼女はぶらぶらして、現地の人たちと交流してその地の面白いものやグルメ、独特な風習を尋ね、その場で行き先を決めてきた。
もし話が盛り上がれば、ムアラニは喜んでその人たちも連れて出かけ、しまいには賑やかなパーティーやピクニックが開かれることだろう。
その場所に少し長くいるだけで、ムアラニは「現地の人しか知らないスポット」を知り尽くしてしまう。
同じく観光に来た者がムアラニに道を尋ね、彼女がすらすらとオススメスポットを教えるのを見てしまったとしよう。きっとその観光客は彼女をガイドと誤解して、案内してもらうために代金を支払おうとする。そういったことも珍しくない。
しかしその際、ムアラニは手を左右に振ってこう言う。「ガイドは観光客の安全も守らなきゃだから、あたしには無理だよ。それにあたしだって、ここに来たばっかりだし!」
遠方から友達が流泉の衆へ遊びにきた時こそ、ムアラニの本領が発揮される。
彼女は生まれながらのガイドだという友達もいれば、
「ガイドになったら、誰も行ったことがない龍の遺跡に連れてってほしいんだ。ひょっとしたら金になるお宝が見つかるかもしれない。」と唆す者もいる。
それを言われた当の本人はなるほどと思ったのか、翌日には有名なガイドとして知られるヌウに弟子入りを打診した。
そこでムアラニは、みんなを探検に連れていく時はどんなスキルを身に着ければいいのかを尋ねた。
ヌウは少し考え、こう言った。「まずはサバイバル知識だ。たとえば野生動物の習性や日常的に見かける植物の用途と調理方法、あとは野営地を見抜く方法なんかだな。それからその場所の地理を熟知していないといけない。潮の流れや噴火の周期もだ。あとは実際にその場所に行って、峡谷や洞窟、火山を一通り回ってみることだな。そうだな、三年かけてスタート地点に立てるといったところか。」
それを聞いてムアラニは帰ろうとしたが、ふと、いつもとは違う場所に行ってみたいという思いがよぎり、高額な授業料を支払った。
安全に目的地へ到達することこそが一番重要なのだと、ヌウが口酸っぱく指導してきたにも拘わらず、ムアラニはいつも脇道には何があるのか覗かずにはいられなかった。もし、すごいお宝があったら?それで、コホラ竜の巣穴に誤って入ってしまったり、雑草で隠れていた穴に落っこちてしまったりといったアクシデントに見舞われていた。
だがこうした状況も、ムアラニは気に留めなかった。彼女からすれば、間違った道を進んだことは正しい道を知ることに繋がるからだ。たとえば落っこちた洞穴には、年代も分からないほどの鉱石が眠っていた、といった予想外のサプライズが起こるといった具合に。
その後、彼女は見事ガイドになることができた。師匠の教えを肝に銘じ、できる限り観光客のため安全かつ的確なルートを計画するようにしてきたが、リンゴ抜きのシュトゥルーデルのように、サプライズに欠ける旅はムアラニにとって受け入れがたいものだった。
ある時、ムアラニは観光客を開けた高地へ案内し、集合写真を撮ろうと提案した。観光客がポーズと表情を決め、ムアラニがカメラを向けたその瞬間、遠くにそびえる火山が突如噴火したのだ。
そのタイミングでムアラニはシャッターをきった。撮った画面を見て手を叩いて喜び、「タイミングもあたしの計算通り!やっぱりここは絶好の観光スポットだよ!」と言った。
しかし観光客たちは先ほどの揺れにひどく驚き、互いに顔を見合わせるばかりだった。そこでムアラニはこう説明した。
「安心して、これだけ離れてるんだから絶対大丈夫。この後も何回か小さな噴火が起こるから、座って一緒に見よっ。きっと生涯忘れられない景色になるよ!」
このように、ムアラニはドキドキも添えて安全に目的地まで送り届けてくれる、とても頼れるガイドなのである。
ただし、いい値が付きそうな龍の遺物は残念ながら、まだ見つかる気配がない。
キャラクターストーリー4
好感度Lv. 5
「ねえ、お願い~!今回の旅の運勢を見てほしいんだってばぁ!」と、ムアラニは全身でドアを押しながら声を張り上げ、「お金なら出すから!」と続けた。
「他の人をあたってちょうだい!」と、シトラリ——「謎煙の主」の集落から少し離れた場所に住まう大祭司は、家の中でドアが開かないように押さえつけていた。「少し道案内するだけじゃない。どこにそんな危険が潜んでいるの!ネガティブすぎるにもほどがある!」
二人はシトラリの家のドアを挟んで押し合っていたが、最終的にはドアが壊れたら全額弁償してもらうというシトラリの脅しでムアラニはようやく押すのをやめた。
しかし、当然ながらムアラニは諦めなかった。翌日、食べ物をいっぱいに詰めたお弁当を携えて、再びシトラリの家を訪れたのである。
アカラジェに、ブレイズ・ミートシチュー、そしてちび竜ビスケット…シトラリは客人を招き入れるつもりはなかったが——主に部屋の片づけが面倒であったため——料理に免じて彼女を家に上げた。
ムアラニはシトラリが満腹になって気持ちが和やかになった頃を見計らい、またもや彼女に懇願し始める。さらに、とっておきの切り札を出した。
「シトラリおばあさま知ってる?『蜃気楼戦記』の新刊が出るんだって!」
シトラリは平静を装った。「知ってる。その作品の生き字引とも言われる忠実な読者としてトーゼンのこと。」
「それがさ、今度ナタを取材したいからってガイドを依頼してくれたのが、あの八重堂の編集者にして作者本人なんだよね。あっ、もしかしたら、発売される前に本が手に入ったりして…」
「オホン、ナタの地は未知と神秘に満ちている。ワタシたちは皆、夜と炎を恐れ敬わなければならない。今回だけはトクベツってことにしておいてあげる。」
……
「もし脇道を見つけたら必ず右へ進むように。」これはシトラリが瞑想の中で未来を予想した際に得られた啓示だ。「喜びなさい、ムアラニ。もし予知をしていなかったら大事になっていたかもしれない。」
出発する前、ムアラニはマップを見て、今回の目的地までは最初から最後まで一本道だと確認していた。にも拘わらず、ムアラニ一行が火山に足を踏み入れた時、これまでマップに記されたことのない脇道が現れた。火山活動の活性化で辺り一帯の地形が変わってしまったようだった。
しかし、彼女がシトラリの言いつけに従うと、無事に本来の目的地に辿り着くことができた。
これ以降、ムアラニは尊敬の念を込めてシトラリを「大先輩」と言うようになり、頻繁に色んなプレゼントを持ち込んでは彼女から「人生のアドバイス」を求めるようになった。ムアラニが「幸運」や「不運」といった言葉を口にすることは、この時から次第に増えていったのである。
今日も二人は相変わらずシトラリの家のドアで押し合いを繰り広げている。もしシトラリが押し負ければ、再びムアラニが家に上がることになるだろう。
キャラクターストーリー5
好感度Lv. 6 •
白石に埋もれし黒石
ナタとアビスの戦争は数百年にわたり続けられてきた。ムアラニも他のナタ人同様に、幼い頃から英雄の物語を聞かされて育った。しかし日常は彼女の目に映る限りでは、ウォーベンに描かれた物語のように危険に満ち溢れて、心を突き動かされるようなものではなかった。
ムアラニの記憶では、「流泉の衆」の雰囲気は常に悠々自適でのんびりしていた。真剣な話し合いの前も、大人たちはまず気持ちよくひとっ風呂浴びてから、おやつをつまみ、牛乳を飲んで、やっとゆるゆると本題に入る。
おまけに部族で流行っている音楽もゆったりとしたスタイルの曲ばかりだ。
幼いムアラニは、遥か昔の戦場の物語を聞いて不可解に思ったことを守衛の大人の一人に投げかけた。
「アビスってすっごく危ない敵なんでしょ?なのになんでみんな、いつものんびりしてるの?」
それを聞いた大人はアハハと大笑いし、ムアラニの頭を撫でてこう言った。「実はそんなに恐ろしいものでもないのさ。ムアラニも大きくなったら簡単に倒せるようになるよ。」
そう言われてムアラニはよく理解できなかったが、別段急いで答えを知る必要のあることでもなかったため、しばらく頭の隅に置いたまま、何不自由なく大人へと成長していった。
そしてある日の夜、アビスが突如部族を襲撃した。魔物と奮闘する守衛たちを目の当たりにした時、ムアラニはこれまで不自由なく暮らしていた日常は当たり前に存在するものではないことを悟った。
彼女は部族の大人たちから少しずつ戦い方を教わっていった。様々な水上スポーツに慣れ親しんでいた彼女は素晴らしい素質を持っていて、その戦いっぷりはさながら素早く泳ぐサメのようだった。
その後、彼女は順調にチームを結成し「帰火聖夜の巡礼」に参加したが、ほとんどが新人で構成されたこのチームは団体戦で早々に敗退した。
ひどく落ち込むメンバーがいる中で、ムアラニは相変わらずニコニコしていた。「あのベテランたちと手合わせできたってだけでも大したもんじゃん。それにあたしたち、これで実戦経験を積めたわけだし、次は絶対もっと上手くいくって!」
彼女の言った通り、成績は試合の回数を重ねるごとに上がっていき、ついには優勝し、晴れて「夜巡者の戦争」に参加する資格を勝ち取った。
彼女の記憶にあるアビスの敵は太刀打ちできないほどに強く、その印象は幼い頃に見たあの日の夜のままだった。しかし彼女は仲間たちと一緒に戦った時に驚きを隠せなかった。なんと一匹、また一匹と魔物を倒すことができたからである。
「今回は幸運だったね、遭遇したといっても、どれもあんまり強くないやつだったし。」
この「幸運」はずっとムアラニに付いていった。三度「夜巡者の戦争」に参加して、一度も復活を経験することなく、いずれも勝利を収めることができたのだ。
そして彼女が勝利を収めるたびに部族では盛大な温泉パーティーが開かれた。彼女の話を聞いた子供が戦い方を教えてほしいと走って頼みにくることもある。
「俺も姉ちゃんみたいなすごい戦士になりたい!」
そんな子供たちの純粋無垢な顔を見て、ムアラニは幼い自分があの守衛に尋ねたことを思い出し、笑いながら手を振ってこう言った。
「ほんとはね、アビスはそんなに怖いものじゃないんだよ。でも、戦うのは大人になってからでも遅くないし、今は思いっきり遊んでおいてね!」
「そうだ、今度、サーフィンを教えてあげるよ!」
「ざぶざぶサメくん」
好感度Lv. 4
昔、サーフィンをしていた時、ムアラニはとある淡水ザメに出会った。サメは音も気配もなく、素早くムアラニに近づき、一瞬で水面から飛び出して鋭い牙を向けた。その牙は日差しを受けて、冷酷に光っていた。
「あははっ、君もサーフィンしに来たの?」ムアラニは軽やかに方向転換すると、襲いかかろうとするサメを避けながら距離を開け、こう言った。「じゃあどっちが速いか勝負しよ!」
猛スピードで逃げるムアラニと、そのすぐ後ろを猛追する淡水ザメ。一人と一匹が立てた波が白く長いコースのように水面に引かれていった。
やがて岸辺に近づき、なんの成果も得られなかったサメは腹立たしげに去っていったが、ムアラニは少し離れた場所で手を振りながら「また遊ぼうねー!」と言った。
その後、ムアラニは何度も同じ水域で同じ挑戦者と遭遇することになった。彼女はその挑戦者をサメくんと名付け、人間とサメの速さ比べが幾度となく繰り広げられていった。そのうち数回の速さ比べを経て、ムアラニの速さには次第に磨きがかかっていったが、サメも負けじと少しずつ距離を詰めていき、ついにはムアラニに追いついた。彼も今回ばかりは彼女に噛みつこうとはせず、肉付きの良い身体を優雅に揺らして、自分こそが試合の勝者であることを誇示した。
「今回は君の勝ちだね!はい、約束のご褒美。」と言って、ムアラニは持ってきた小魚の干物を彼に与え、ついでにヒレを撫でた。
これを機に両者はサーフィンを楽しむ仲間になったのだ。ある日、いつもの競争を終えたサメくんはムアラニの周りをぐるぐると回った後、尾びれを振って夕日の方へと泳いでいった。
ムアラニはいつものように手を振って別れた。しかしそれから、ムアラニがサーフィンをしにいつもの場所へ行っても、あの丸っこくて素早い姿を見ることは二度となかった。
ムアラニには分かっていた。出会いも旅と同じで、誰にでも新しい目的地ができるが、一緒に過ごした時間が消えてなくなることはないと。
そう思ったムアラニはすぐさま一枚の紙を取り出して図案を描き始めた。半月後、彼女はこの「ざぶざぶサメくん」のデザイン原案を馴染みの職人に手渡したのである。サメくんのヒレは硬かったが、尾はしなやかだった。記憶の中のサメくんの感触を再現するために彼女は材料にこだわり、牙と顎関節に至るまで再現した。
その一方で配色は誰もがサメくんを一目見て、記憶に残るように、自ずと目を引くものになったのであった。
ムアラニが新装備を携えて登場すると、再び周りの注目を集めることになった。人々の歓声の中、「ざぶざぶサメくん」は最終的に量産販売に至った——無論、一般販売されるにあたって噛む機能は排除されたが。
ムアラニはサーフィンをしていると、時折、いつまたサメくんと遊べるのだろうと考えることがある。「ざぶざぶサメくん」とサメくんのどちらがより速いのか、彼女は切実にこの答えを知りたいと願っている。
神の目
好感度Lv. 6 •
白石に埋もれし黒石
後にムアラニは、この「ウモジャ」という古名に込められた意味を明確に理解したが、その実感は何年も前のある穏やかな夜からあった。
その夜、ムアラニとその友人らが賑やかな温泉パーティーを終えた頃には、すでに深夜になっていた。誰もが楽しさの余韻に浸っていた時、遠くから静かな夜には不釣り合いな大きな音が鳴り響いた。
周りの者が互いに顔を見合わせ、何が起こったのか誰も把握できていない中、巡回していたアテアが切羽詰まった様子で駆け込んできてこう言った。「全員はやく逃げて!アビスよ!」
誰もが逃げ惑う騒然とした現場でムアラニは高々と手を上げ「アテアおばさん、あたし残って手伝うよ!」と言った。
ムアラニを切り口に、他の者も力になりたい続々と名乗りを上げた。
「ダメだ、あんたたちにはまだ実戦経験がない。ここに残ってちゃ危ない。戦いは遊びじゃないのよ!」
しかしムアラニの決意は決して生半可なものではなく、部族の一員として、自分だけ逃げるわけにはいかないと考えていた。
「戦わなくても、あたしたちにできることはあるはずだよ!」
そう言ってムアラニは、同じようにこの場に残ることを選んだ顔なじみの仲間たちを振り返った——
イリャパは風みたいに足が速いから、ご近所さんたちに知らせに行ける。オランタは身体が大きくて目もいいから、巡回を手伝える。ヤーナは昔ライフセーバーだったから色んな応急手当のやり方を知ってるし、後方支援の力になれるはず…
「そしてあたしは」と、ムアラニは彼女自慢のサーフボードに足を載せてこう言った。「あたしの速さは折り紙つきだよ!必要なところにすぐ駆けつけてあげる!」
ムアラニの言葉に仲間たちが頷くのを見て、アテアもそれ以上は止められず、彼女たちにお互いに注意して安全第一で行動するように伝えた。
「それならムアラニ、私と『アビスの境門』を探しにいこう。」
……
ムアラニはスピリットウェイを駆けて部族周辺の情況を素早く偵察し、「アビスの境門」の位置を捉らえた。一か所見つけるごとに、彼女は守衛たちと情報を共有していった。
そのうち一つの境門は湧き出てくる魔物が異常に多く、部族側は苦戦を強いられていた。ムアラニがやっとの思いで救援に向かったが、戦場はすでに焦土と化し、黒い炎に包まれていた。
アテアの一太刀が魔物の身体へ深々と食い込んでいく。しかし彼女の背後からもう一匹の魔物がその隙を突き、襲い掛かろうとしていた。
「危ないッ!」ムアラニは叫び、サーフボードを加速させて魔物を突き飛ばしたが、その瞬間、自分に隙が生まれてしまった。
挑発された魔物はくるりと身を翻して彼女に鋭い爪で襲い掛かろうとする。ムアラニは身をすくませたが、攻撃はやってこなかった。その代わりに生温かい血が彼女の頬にかかった。目を開けるとアテアの刀が魔物の心臓を貫いていた。
……
過酷な戦いは明け方まで続いた。すべての「アビスの境門」が封印されたのを確認すると、ムアラニはアテアと守衛たちの後について、疲れ果てて部族へと帰還した。
その時にムアラニはみんな大なり小なり怪我をしていることに気付いた。そして誰かが応急手当を済ませ、傷口には包帯が巻かれていた。それに比べて、周りに守られてきた自分たちはかすり傷程度で済んでいる。
ムアラニの心の中に、今までに感じたことが無いほどの悔しさと自責の念が湧き上がった。「もしあたしがもっと速く、もっとサポートできてたら。」
ムアラニは拳を握り締め、密かに誓った。必ず部族の戦士から戦い方を教わるのだと。
アビスの襲撃中、ムアラニの家族はなかなか帰ってこない娘を心配していた。そしてアテアがムアラニを送ってきて初めて、娘が戦場に行っていたことを知った。
アテアは別れる前に「この子、とても勇敢だったわ。」と言って、ムアラニの頭をぽんぽんと優しく撫でた。
……
その日、ムアラニはとても長い夢を見た。もし寝返りを打った時に顔に硬いものが押し当てられた感覚が無ければ、もっと長く寝ていられたかもしれない。
眠い目を開けてそれを手に取ってみれば、それはキラキラと輝く神の目だった。
窓から差し込む日の光の下で磨いてみたり観察してみたりして、家族が買ってきた単なるおもちゃではないことを確かめる。
「もしかして、初戦の戦利品?…いい兆しかも。」
名刺の飾り紋
ムアラニ・サメくん | |
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取得: ムアラニの好感度がLv.10に到達後獲得。 記述: 海にいるサメは人ではなく、海洋生物を食べる。ムアラニのサーフボードは淡水温泉のサメをモチーフとしているため、温泉の生き物しか食べない…な~んてね!カピバラを食べたりしないよ。肉が硬いし、そもそもサーフボードはものを食べないから。 |
命ノ星座
任務とイベント
キャラお試し
キャラクターの紹介
キャラストーリー
キャラクター | ストーリー |
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キャラボイス
キャラクター | ボイス |
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履歴
豆知識
- 『イグニッションPV「名を鋳る燎火」』では、カチーナ、キィニチ(KNICHとして)、ムアラニの名前がテイワット文字でトーナメントボールに落書きされている。
- ムアラニはドリーと同じ中国人声優、Wang Xiaotongを起用している。
語源
その他の言語
キャラ称号: ざぶざぶウェーブチェイサー
言語 | 正式名称 |
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日本語 | ざぶざぶウェーブチェイサー Sabusabu Weibucheisaa |
中国語 (簡体字) | 哗啦啦逐浪客 Huālālā Zhúlàngkè |
中国語 (繁体字) | 嘩啦啦逐浪客 Huālālā Zhúlàngkè |
英語 | Splish-Splash Wavechaser |
韓国語 | 첨벙첨벙 파도잡이 Cheombeongcheombeong Padojabi |
スペイン語 | La Cabalgadora de Olas Rugientes |
フランス語 | Chasseuse des vagues rugissantes |
ロシア語 | Укротительница волн Ukrotitel'nitsa voln |
タイ語 | นักผจญคลื่นคำราม |
ベトナム語 | Người Đuổi Theo Sóng |
ドイツ語 | Plitsch-Platsch-Wellenjägerin |
インドネシア語 | Splish-Splash Wavechaser |
ポルトガル語 | Surfista Perseguidora das Ondas |
トルコ語 | Coşkun Dalgaların Peşinde |
イタリア語 | Cacciatrice di onde gorgoglianti |
脚注
ナビゲーション
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