親しみやすい笑顔を見せる、謎の砂漠の少年。ハイキングを愛しており、雨林と砂漠の至るところに足跡を残している。
—公式サイトより抜粋[1]
性格
沈黙の殿の継承者。砂漠より訪れ、秘密を背負っている。
—ゲーム内のキャラクターステータスとプロフィールページの紹介文
一般人から見ると、セトスは実直でのんびりしているように見える[2]。沈黙の殿のリーダーとして、彼は自分の仕事にできるだけ真剣に取り組んでいることを証明している。セトスは、困っている人々を助けるために下働きをすることを楽しむ人間である。彼は簡単な依頼には決して「ノー」と言わないことで知られている。彼はどこに行っても、あらゆる場所で友人を見つけ、参考にしているようだ。スポットライトを浴びず、庶民の中でつつましく暮らすことを好むが、人のために話をしたり、無報酬の仕事をすることもためらわない。
セトスは自信にあふれ、社交的である。砂漠の悪路に精通し、おしゃべりで熱狂的な彼は、印象に残る。饒舌でありながら、秘密を守ることにも長けている。セトスは自分の職務を心に刻みながら、沈黙の神殿の秘密を大切に守る[3]。養父のバムーンを思い出すと、かなり感傷的になる傾向がある。セトスはドラマや時代遅れと思われる見解といったものにはほとんど関心がなく、むしろ完全な意味をなさないかもしれない物事に疑問を抱くよりも、前に進むことを好む[4]。彼にとって、単なる研究者であれバモウン自身であれ、人々は自分の見解を変えるにはあまりにも固執し、頑固に見える。
容姿
セトスは中背の男性モデルを使用している。セトスは蜂蜜色の肌と、黄色い斑点のある緑色の目をしている。髪は長く乱れたダークブラウンのポニーテールで、淡い色の三つ編みを背中の下まで結んでいる。
公式紹介
汝は将来、狐の機敏さとトビヘビの器用さを兼ね備え、ヘルマヌビスの知恵に恵まれる者となるであろう。名は——セトス。
—とある新生児の命名の儀における、祭司による占い
経験不足の者が、果てしない砂の海を旅すれば、いとも簡単に迷子になってしまう。そして、親切に手を差し伸べてくれる者がいなければ、その探索はそのまま終止符を打たれることになる…しかし、砂漠で方向を見失ってもなお、正しい道に戻って仲間と合流できた者たちの多くは、皆一様に同じ名を口にする——「セトス」。
方向感覚に優れ、親切でお喋り上手…というのが、助けられた旅の者の誰もがセトスに抱く印象である。それは確かに、間違ってはいない。砂漠の民であるセトスは、それぞれのオアシスを行き来する道を知り尽くしている。太陽を観察して方向を判断するような細かい知識ならば、尚更だ。セトスは趣味でよく雨林と砂漠の間を歩いており、それらの知識はすべて、彼自身の実践の賜物である。親切でお喋り上手という点に関しては、たまたま出会ったエルマイト旅団に話しかけたり、沼にはまった雨林の学者をもののついでに助けたりするところから来る印象であろう。そういった際に相手から聞ける特別なエピソードは、見識を広めてくれるだけでなく、十分に面白い。これこそが旅の醍醐味であると、セトスは密かに思っている。
このような性格のためか、砂漠から雨林に至るまで、彼にはどんなところにも話せる友人がいる。キャラバン宿駅でセトスと知り合った、とある雨林の学者は特に彼の実力を買っている。教令院の知識システムに対するセトスの独特な見解を聞いたその学者は彼の才能を高く評価し、教令院の入学テストを受けてみるべきだと声をかけることもあった。
「教令院に行って学生になれって?教令院の知識とうちの年寄りたちに教わったことの違いを比べてみるのも、なかなか面白いかもね。考えておくよ。」
キャラクターストーリー
キャラクター詳細
いつの間にかシティに新顔が増えていた。
その砂漠出身の若者は、気が向くといつもするりと人の輪に入っていく。皆がしばらく経ってようやく、さっき話していた相手が初対面の人間だと気づくほどだ。彼らはあちこち聞き回って、やっと彼の名がセトスだと知る。
「どこで知り合ったんだ?彼は君の古い友人だろう?」互いに質問し合った結果、誰もがセトスと知り合って間もないことに気づく。
狂風にあおられて高い壁を越える砂粒のように、セトスはいとも簡単に人々の中に溶けこみ、故郷や旅について語り始める。皆はそれを好ましく思い、いい友人として遇する——なぜなら、彼が印象的な緑色の瞳と言葉を巧みに操る唇を持っているからだ。
夕暮れ時、新たな友人は物語を抱えてやってくる。セトスは自分がエルマイト旅団の傭兵たちと旅をした際、いかに駄獣を連れて砂嵐を避け、オアシスの畔にテントを張って夜を過ごしたか、砂漠の夜がどれほど寒かったか、一晩寒さに耐え抜いて迎えた夜明けがどれほどありがたかったかを語った。
セトスが話すと、苦難もただの経験の一種に過ぎず、すべてが物語として存在するようになる。人々はその物語にどんどん惹かれていき、彼の訪れを楽しみに待つようになった。
たった一度だけ、テーブルで酔いつぶれる聴衆を横目に、シラフのセトスがグラスを回していたことがある。
彼はこう言った。
「みんなは物語に出てくる僕があまりに平凡だと言うけど、じゃあこれならどう?主人公である僕は金の鍵を持っていて、いつでも遠い昔に失われた宝物庫を開けられ、人々を神秘の地に案内できる。ねえ、まさかそのほうがいいのかな?」
「俺に言わせれば、それじゃ逆につまらないな。平凡な人間が不思議な体験をするからこそおもしろいんだ!それにこの世にそんな変わった謎の人物がいたとしても、お前みたいに若くはないはずさ」酒場のマスターは思わずそう口を挟んだ。
「だよね」とセトスは返す。その姿はなぜかとても嬉しそうに見えた。
キャラクターストーリー1
好感度Lv. 2
シティの人たちはセトスが全力疾走する姿をめったに見かけない。だが実のところ、この若者は大変足が速い。追いつこうとすれば、きっと風ほどの速さが必要になるはずだ。
セトス本人もそれを自慢にしていて、しょっちゅうこう言う。「砂漠で生きるには何か特技が必要だろ?僕の特技は速く、長く走れることなんだ」
そのため彼のもとには様々な依頼が舞い込む。副業と言うほどでもないが、ただ足がやけに速いというだけで隣人から重責を任され、大病で自宅の床に伏せる老人のために手紙を届けたり、教科書を忘れた間抜けな学生に宿題を届けたりする。
その報酬は様々だ。モラを渡す学生もいれば、コーヒーをご馳走したり、深謝の意を表するために大切な七聖召喚のカードを贈ったりする者もいる。
だが老人たちの謝礼はよりバラエティに富んでいた。彼らはお金だけでなく、手料理でセトスをもてなしたり、年季の入った置物を引っ張り出して贈り物にしたりする。
物分かりの大変よいセトスは、決して嫌がる素振りを見せない。彼は価値に応じてそれらを分類し収蔵する。お金、置物、使い道のないこまごました物、七聖召喚のカード、その他といった風に。
「どんな仕事でも引き受けるなんて…まさか、使い走りが好きなわけじゃないでしょうね?」トレジャーストリートの御婦人が尋ねた。
セトスは彼女の作るフィッシュロールフライが好物だ。聞くところによると、この街でその美食にありつけるのは彼女の家族と隣人、それに店の手伝いをしたセトスだけだそうだ。
彼は婦人が持ってきた弁当箱を手にしたまま、真剣に考えこんだ。
「そっか」セトスは驚いた顔で言った。「今日初めて気づいたよ。僕は使い走りがすごく好きなんだなって」
「もっといい仕事を探さないの?あなたは物知りで仕事もできる。なんなら…アルバイトの口でも探してあげましょうか?」婦人は心配でたまらないという風に言った。
セトスはただ手を振り、遠くを飛ぶ人影を指差した。「おばさん、あの人は何をしてると思う?」
婦人が顔を上げると、大きくて丸い物体が飛んで行くのが見えた。その下には人がいるようだ。彼女は驚いて言った。「あれも使い走りなの?」
「あれは笠っちというヴァフマナ学院の学生なんだ。そして、彼は実にすばしっこい」セトスはフォークを持ち上げた。「彼も時々、頼まれて院の手紙を届けてるらしい」
「つまり、彼もそれが気に入っているってこと?」
「いやいや、彼はそうでもないみたいだよ。でも僕は違う。人と関わるのは楽しいし、簡単な雑用をするのも好きだ。ほら、こうやって食事もご馳走になれるしね。それにちゃんと本業もあるから、心配は無用さ」
それから何日も、セトスは忙しく働いていた。ある日、用事で出かけた際、教令院の通用門を通りかかると木の上から不意にからかうような声が降ってきた。「教令院の使い走りまでするとは、本当に手広いんだね」
木の股に腰かけているのは他でもない、笠っちだ。セトスは彼に笑いかけて、持っていた弁当箱を掲げた。「昼メシにしようかと思ってさ。貰いものだけど、君もどうかな?」
「君の仕事は使い走りじゃない。他に大事な役目があると見た」
「君もただの学生じゃない。他に大事な役目があると見たよ」
ここまで言えばもう十分だった。笠っちは無言で帽子のつばを直し、あっという間に姿を消した。セトスが一体何者で、何か要職に就いているということは近くの人々の耳に届かなかったし、誰も関心すら持っていない。
セトスはのんびり眺めのよい場所を探して座り、様々な理由で手に入れた無料のランチを楽しんだ。彼は速く走れるお陰で色んな人たちと出会い、様々な謝礼がもらえることに心から満足していた。
キャラクターストーリー2
好感度Lv. 3
酒に酔った飲み友達たちはセトスの物語に出てくる隠者のことなど覚えていない。宝物庫の鍵を管理する謎の人物、その話を覚えているのは店主のランバドだけだ。彼は酒や料理を楽しもうと訪れる客に尋ねた。「語り部から聞いた話なんだが、どう思う?そんなことが本当にこの世にあるんだろうか?」
そこにいる者は互いに顔を見合わせた。ドリーはフィッシュロールをフォークで刺して、ぽつりと言った。「そんな人がいたらとっくに大金持ちになっているでしょうね」
「それかどこかの部族のリーダーになっているかもしれませんね?そういう物語が生まれるのは砂漠でしょう」隣のテーブルのキャンディスが答えた。
ディシアは笑ってある人物を思い浮かべ、こっそりランバドに尋ねた。「どうしてありえないと思うんだ?若者にだって謎めいた肩書くらいある。そいつもお酒を飲みに来たり、普段は仕事を探したりしてるかもしれないぜ」
その頃、セトスは遠く離れた土地にいた。彼は旅行鞄を背負い、軽快に歩を進める。太陽が徐々に姿を消し、夜の闇が遠方から這い出ようとしていた。同行者の因論派の学者は消えゆく太陽を見て、怯えた表情を浮かべた。セトスは雇い主を見ると、無言で飲み水を手渡した。
セトスの歩調は学者に合わせた、ゆっくりとしたものだ。夜になると、雇い主とガイドは大きなテントを共に使った。学者はセトスの建てたテントの脇に座り、感激の面持ちで火に当たった。
「お金に苦労している様子もないのに、なぜ砂漠を目指す者のガイドを引き受けたのだい?君はどうやら砂漠暮らしが長いようだね」
「ヒマだし、手伝ってくれって言われたから来たんだよ。僕は砂漠で育って、教令院の試験には落ちた。君たちがどんな研究をしてるか興味もあったしね。こうして学者さんのガイド兼護衛をするのも、おもしろいと思って」
セトスは落ち着き払っていた。様々な場所で物語を聞かせるときと同じように、一切ボロを出さない。その顔は誠実そのものだ。学者もそんな彼を無視できず、教令院の面白話や、同級生や同僚、研究の愚痴を話し始めた。セトスは頬づえをつき至極真剣に話に耳を傾けた。学者の暮らしに興味津々といった様子だ。
それから一週間、セトスは名もなき学者の実地調査に付き添い、彼を教令院まで無事に送り届けた。謝礼を受け取ったセトスはそれを確かめもせずポケットに放り込むと、手を振って正門から出て行った。
彼は院を出てすぐに大マハマトラ・セノに遭遇した。セノは彼と遠くにいる学者を交互に見て、納得した顔を見せた。
「副業のほうはどうだ?あの学者の研究はおもしろかったか?」とセノが尋ねた。
セトスはセノに倣って手すりにもたれかかり、沈む太陽を見つめた。
「まぁね。でもああいう学者は頭が固すぎる。あの人は知恵のある部族が砂漠に隠れ住んでると思いこんでるんだ。いくらキングデシェレトの霊廟のそばにはいないと伝えても信じない。しまいには僕の実家があの辺にあると言っても、信じなかった」
「そいつに言ってやるといい。俺やティナリやコレイ、ディシアのみんなが、お前の出身地を証明するとな」
「いや、それだとあの人は僕をただの嘘つきだと思うだろうね。いくらヒマでもそんなやつがガイドなんかするかってさ」
キャラクターストーリー3
好感度Lv. 4
スメールでキングデシェレト文明を研究する者、キングデシェレト・アフマル及びその配下七柱の名前を淀みなく、そらんじることができるその信奉者は、みな「沈黙の殿」の存在意義を理解している。
それは極めて古い組織である。その使命を知る者がいるとすれば、「崇高」と「管理」という二つの言葉でそれをまとめるはずだ。
知恵の頂点であるヘルマヌビスが沈黙の殿を建ててからすでに千年以上が経つ。彼らの唯一かつ最も崇高な目的は、門外不出の知識を管理することだ。幾千年もの間、砂漠では動乱が起きた——その中で沈黙の殿は彼らの有するあらゆる知識を携えて戦火を逃れ、各地を転々とした。一旦は雨林や教令院に身を寄せたものの、教令院の権力者に対する不信感からその地を離れ、結局は忘れられし土地に逃れることとなった。
ストーリーの語り部セトスは、まさにその沈黙の殿の出身であった。彼は自分で言うような平凡な人間では決してない。それどころか、平凡な身分が彼の人生の穴を埋めてくれたとも言える。
セトスは砂漠に生まれた。母は商人、父は傭兵であったと聞く。ある者は様々な手がかりを繋ぎ合わせ、彼の両親は希少な砂漠の部族出身だと推理した。だが残念ながら、セトス本人に実の両親の記憶はない。物心つく頃にはすでにバムーンに引き取られ、血の繋がらない孫として沈黙の殿で暮らしていた。
数年後、セトスは特異体質であることが判明する。ヘルマヌビスの跋霊を受容できる体質だったのだ。それゆえ彼は、自分に憑依した偉大な力と神聖な絆を築くことができた。
幼い頃、彼と似た体験をしたもう一人の人物、大マハマトラ・セノはいち早くスメール人の尊敬を集めていた。セトスはセノのように名を馳せ注目されるのをよしとせず、スメールシティに来てからは名前や身分を隠してごく普通の人間として過ごした。
彼は平凡で完璧な家庭環境をでっち上げ、住む場所を手配し、時おり砂漠のガイドや商隊の手伝いをして暮らした。退屈すると色々な場所で友達を見つけておしゃべりし時間をつぶした。
もちろんそれは暇な時だけで、忙しくなると状況は一変した。時々クラクサナリデビに呼び出されて、賢者たちと共に協力の過程で生じる諸問題を検討することもあった。そう、セトスはすでに前首領のバムーンから沈黙の殿の指導者という立場を引き継いでいたのだ。彼は沈黙の殿を率い、再び教令院と協力関係を結んだ。
平凡なスメールの新住民セトス、沈黙の殿の新たな首領セトス。二つの身分は天と地ほど違うが、そのどちらもセトスが実際に経験していることだ。
彼にどちらの暮らしが好きか尋ねても、きっと選ぼうとはしないだろう。そしてこう言うのだ。「いやいや、その必要はないよ。人って、取捨選択をしすぎると生きるのが辛くなるんだ。だってほら、お酒とコーヒー、どっちかを捨てる必要ある?どっちも自分のものだろ?」
キャラクターストーリー4
好感度Lv. 5
沈黙の殿の前首領バムーンは「血塗られた名を背負う者」と呼ばれている。その称号が何に由来するのかはセトスもよく知らないし、さほど興味もない。
沈黙の殿のメンバーであるセトスは一般の子供とは相反する特殊な視点を持ち、何年もかけて沈黙の殿がこの世界にとってどんな意味を持つのかを理解した。
こうした組織の首領として、バムーンはどれほどのものを背負っていたのだろう?セトスは自分なら分かると思っていたが、想像するのは難しかった。
セトスの記憶にあるバムーンは人情味のない首領ではなく、親しみやすく我慢強いじいちゃんだった。まだ元気な頃は、よく砂漠にも連れていってくれた。
野営、探検、狩猟…面白いものであれば何でもやった。料理や道を探す技術は全部その時に学んだ。テントの張り方もじいちゃんが直接教えてくれた。
その頃のセトスはとてもやんちゃだった。タンブルウィードをどこまでも追いかけ、中に何があるか確認するまで決してやめなかった。バムーンも昼間は好きなようにさせていたが、日が暮れると彼をテントに連れ戻し、難しい本や文献を読んだ。
セトスが横からこっそりのぞきこむと、バムーンは言った。「堂々と読めばいい。別に貴重な古書でもないのだから。まさかこれが我々の所から持ち出したものだとでも思ったか?」
沈黙の殿に保管されている古書は極めて貴重なものばかりだ。首領といえども無条件には持ち出せない。バムーンがテントに持ち込んで読んでいるのはほとんどが個人の蔵書で、中には砂漠の商人から買い求めたものもあった。
祖父と孫はテントにこもって共に一文字ずつ文献を読んだ。セトスは意味が分からなくなると、前に目にした謎々や人から聞いたことわざを黙って砂に書きつけた。
彼はバムーンに尋ねた。「ウサギってなあに?」
バムーンは答えた。「猛獣のエサ、干し草の天敵だ」
彼はさらに質問を続けた。「じゃあトビヘビってなあに?」
バムーンはしばらく笑ってから言った。「セトスの幸せを祈る生き物だ。祭司が言っていた。セトスは狐の機敏さとトビヘビの器用さを身につけるだろうとな」
夜を越え空が明るくなると、セトスは各種武器を手に山の斜面に向かう。彼はそこで戦闘スキルの訓練を受けた。最初は遠距離戦、次に近接戦だ。弓矢は他の何人かの指導を受けたが、槍の使い方はバムーンが教えてくれた。
セトスはバムーンに尋ねた。「じいちゃんはこの武器が一番好きなの?」
バムーンは答えた。「一番わしに合っているのだよ。槍は戦上手の代名詞であり、勇士の勲章だ。あのジュライセンですら槍を使っていた。あやつが勇士とは断言できないがね」
セトスはじいちゃんの結論を待つまでもなく、その表情からジュライセンを臆病者と思っていないことに気づいた。だからこそ、じいちゃんは戸惑っていたのだ。
その後、彼も槍を手に入れた。おもしろいことに、その槍は一目で砂漠の人間の手によるものではないと分かった。バムーンは余計な説明を加えず、ただそれがジュライセンの残したものだと語り、よい武器だから使えばいいと話した。
聡明なセトスは、その時点でバムーンの言葉に潜む深意に気づいた。
彼は幾度も繰り返し考えた。バムーンは本当にジュライセンを恨んでいるのだろうか?もしかするとそれは自分のもとを去った友人への不満であって、憎しみではないのかも?本当に恨んでいるなら、相手の物を取ってはおかないはずだ。だがバムーンは無造作に槍を取り出し、ありふれた物だと言わんばかりのさり気ない口調を崩さなかった。
沈黙の殿とバムーンの求めるものは一致していたが、バムーンの感情は沈黙の殿のものとは異なっていた。首領たる彼は、ジュライセンのような人物を恨むべきだ。だが友人としての彼は、ジュライセンの勇気を称えていたのかもしれない。
そうした矛盾をずっと抱えたままでいるのは不可能だ。いつの日か、じいちゃんは何らかの方法で自分と沈黙の殿の間にある小さな齟齬を解消するだろう。
枝葉を切り落とし、また正しい道を作り直すのだ。バムーンとはそういう人だ。セトスの中ではいつまでも優しくて我慢強いじいちゃんだが、それでも彼は血塗られていた。
次にバムーンが犠牲にするのは彼自身だと、セトスは知っていた。バムーンも孫がいつか自分の心を見破ると気づいていた。
それが祖父と孫の暗黙の約束だった。それが果たされる日、彼らはただの祖父と血の繋がらない孫ではなく、歴史の分かれ道に立つ二人になるのだ。
キャラクターストーリー5
好感度Lv. 6
セトスはほぼ毎晩「友達」という言葉を口にする。
友達と称される人物は物語の随所に登場した。外見も年齢も、性別も身分もみなバラバラだ。セトスがその友達の名前を明確に口にしたことは一度もない。ただ「僕の友達はいいやつばっかりだ。みんながいなければ、僕の暮らしはそりゃあもう退屈だっただろうね」と言うばかりだ。
大マハマトラ・セノはセトスの初めての友達だと言えるだろう。厳密に言うと、二人は旧知の仲だ。セノがまだ沈黙の殿にいた頃、セトスと会話したことがある。その後二人は共に跋霊移植の実験台となり、憑依されたことで記憶の一部を失った。セノのほうが状況はより深刻だった。沈黙の殿での暮らしについては、ほぼ完全に忘れてしまっている。セトスのほうはまだ症状が軽く、人に関する記憶を失っただけで済んだ。
彼は、自分が何を忘れたかはっきりとは言えなかった。実の両親のことかもしれないし、幼馴染の姿形かもしれない。幸いセノ以外の幼馴染はみな沈黙の殿に住んでいたため、彼らの顔を改めて覚えるのはさほど難しくなかった。一旦忘れた友達セノについても、その後再会して本物の親友になった。セトスはそれが嬉しくて、時々セノを「兄弟」と呼んだりもする。
砂漠を出てから、兄弟セノの親友ティナリもセトスの大事な友達になった。ティナル人の血を引くこのレンジャー長は、普段アビディアの森で暮らしている。彼は木や植物、森に迷い込んだ人々について、一旦話し出すと止まらない。緑の乏しい砂漠出身のセトスは、ティナリの仕事や生活に大いなる興味を寄せていた。彼はよくセノと一緒にティナリの家で食事をご馳走になったり、コレイとテント張り競争をしたりする。
頼りになる傭兵ディシアやアアル村のガーディアン・キャンディスとも、その後すぐ友達になった。キャンディスはさらにセトスを村に招き、村民に砂漠の奥から来た旅の者だと紹介した。
不思議そうな顔をするセトスに、キャンディスはこう答えた。「あなたは毎日あちこち行ったり来たりで忙しそうですから、そう呼ぶのが一番ふさわしいと思ったのです。自分の定めた道をひたすら突き進めるのは、とても素晴らしいことですよね」
ある穏やかな日、セトスは沈黙の殿に戻った。
彼は検討中の課題を持ち帰って皆に共有し、雨林の様々な特産品を渡した。沈黙の殿には雨林に行ったことのないメンバーも多数いる。彼らは珍しいものを見てとても喜んだ。
仕事を終えたセトスは古びた水嚢とお気に入りの楽器、アビディアの森の木の葉を携えた。その夜、彼はかがり火を焚き、バムーンの墓碑のそばで一夜を過ごした。
悲しみや迷いが理由ではない。セトスはただ、自分を育ててくれたじいちゃんのそばに戻りたいと、それだけを願っていた。バムーンのそばにいると、どこまでも心が凪いでいくように思えた。
「これは友達が選んでくれた葉っぱ。特別なものじゃないけど、すごくきれいだから見せたかったんだ」
「あ、そうだ。別の友達からは旅の者って呼ばれた。どう思う?昔じいちゃんが旅の者だと名乗ったとき、皆からそれにしては行った場所が少なすぎると言われたよね。僕が今それになったんだ。僕なら時間もたっぷりあるし、じいちゃんよりその名にふさわしいと思うよ」
彼は葉っぱをかがり火に入れた。片手でそっと手招きをするように、炎がふわりと舞い上がった。
セトスは薪を動かして、笑った。「そっか。じいちゃんも賛成してくれるか」
古びた水嚢
好感度Lv. 4
獣の皮で作った古い水嚢。年数を見ると、その歳はセトスより上だ。セトスはそれをとても大事にしていて、いつもそばに置いている。
それはじいちゃんからの贈り物だ。部族によっては上質な水嚢を勇士へのご褒美にするところもあると聞く。バムーンはそうとは言わなかったが、セトスが一射で遠くの鳥を撃ち落とした際にこれを手渡してくれた。
水嚢の革にはじいちゃんが自ら刻印した孫の名が入っている。
神の目
好感度Lv. 6
狩りは通常、災いが去ってから始まる。だが時には例外もある。
仲間のミスでセトスとバムーン、それに沈黙の殿のメンバー二人は野獣に囲まれた。彼らは一晩中獣の群れと対峙し、夜明けを待ってその中の数頭を倒した。
セトスはそこで積極的かつ果敢な戦いを見せた。彼は年老い、過去の様々な戦いで傷ついたバムーンの身体が、すでに野外での戦闘を率いる者としてふさわしくないことをよく理解していた。だから夜明けを迎えた後、セトスが野獣の頭部を貫く最初の矢を放ったのだ。
風を切り裂く矢は油に注がれた一滴の水のように、新たな激戦を招いた。
だがちょうどその時、突如として地面が揺れ始めた。人間の生け捕りに集中していた獣たちは反応が遅れた。気づいたときにはもう遅く、瞬く間に数頭が流砂に呑みこまれた。
セトスは高所への撤退を指揮した。ロープ等の道具を使い、迅速に辺りで一番高い場所を目指す。流砂から逃れようとする野獣たちも当然その場所に目をつけた。突進を繰り返す彼らを、セトスは片っ端から撃ち落とした。
しばしの混乱の後、生き残った野獣たちは命からがら逃げだし、生存者たちはほっと一息ついた。だが、よりによってそのとき嵐が巻き起こる。そして、一瞬のうちに激しさを増した。
狂風の中でセトスは他の三人を見失いかけた。緊迫した状況の中、彼はロープを皆の腰に巻き付け、もう一方の端を自分の体にくくりつけると、全力で岩にしがみついた。
どれだけ時間が経ったのだろう。荒れ狂う風の音が止んだ。セトスはぎゅっとロープを引き、他の人たちをゆっくりと自分のもとにたぐり寄せた。
彼らは改めて空を観察し、安全を確認してから来た道を引き返した。途中、セトスは崖下に横たわる大小一頭ずつの野獣を目にした。
バムーンは遠くからそれを眺め、「多分親子だな。成獣が幼獣を連れ戻そうとしてバランスを崩し、風にあおられて落下したのだろう」
「さっきの野獣の仲間でしょう…他にも小さいのが何頭かいましたよね?この一頭を助けるために成獣は犠牲になり、他の幼獣は庇護者を失った。それじゃ元も子もない…無謀すぎますよ」他のメンバーが首を振った。
流砂と嵐から子供を助け出す。どう考えても勝算はゼロに近い。だがセトスは、バムーンが何かを思い浮かべているかのようにずっと遠くを見つめていることに気づいた。彼は結局、最後まで口を開こうとはしなかった。
命拾いした一行はゆっくりとその場を離れた。最後尾にいたセトスは去り際に崖下を眺め、改めて志を果たせずに終えた野獣を見た。
死線を越えたばかりの彼のポケットには、重い「神の目」が一つ増えていた。だがさっきのような場面では、過程に価値はない。時には目に映る結果だけがすべてのこともある。
セトスはポケット越しに神の目を握りしめ、淡々と、けれども深くその道理を理解した。
名刺の飾り紋
セトス・跋霊 | |
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![]() |
取得: セトスの好感度がLv.10に到達後獲得。 記述: 跋霊には、それぞれ象徴がある。砂時計のように見えるが、これはキングデシェレトが上風蝕地と下風蝕地の両方を支配していることを意味している。そして、その中にある明るい灯はヘルマヌビスの知恵を象徴する。 |
命ノ星座
バシレウス・デルタ座 | ||
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意味: バシレウスのデルタ |
任務とイベント
キャラお試し
キャラクターの紹介
キャラボイス
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メール
送信者 | メール |
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メール
履歴
豆知識
- セトスのキャラクターカードには、烈日の後嗣が描かれている。
- 賢者の中の賢者のカットシーンで、セトスが未知の長柄武器を振り回している。
- 長柄武器のデザインは トゥライトゥーラシリーズの武器に似ている。
- セトスには次のような別名や肩書きがある。
語源
その他の言語
キャラ称号: 知恵のはかり手
言語 | 正式名称 |
---|---|
日本語 | 知恵のはかり手[• 1] Chie no Hakari Te |
中国語 (簡体字) | 衡明知度 |
中国語 (繁体字) | 衡明知度 |
英語 | Wisdom's Measure |
韓国語 | 지혜의 척도 Jihye-ui Cheokdo |
スペイン語 | El Medidor de la Sabiduría |
フランス語 | Mesure de la sagesse |
ロシア語 | Мера мудрости Mera mudrosti |
タイ語 | มาตรวัดแห่งปัญญา |
ベトナム語 | Thước Đo Trí Tuệ |
ドイツ語 | Maß aller Weisheit |
インドネシア語 | Wisdom's Measure |
ポルトガル語 | Medida da Sabedoria |
トルコ語 | Bilgelik Timsali |
イタリア語 | Misurazione del sapere |
- ↑ 日本語: 「手」という単語は、何かをする人の代名詞としてよく使われるため、このタイトルは最もストレートに「知恵を裁く者/測る者」という意味になる(「はかる」とその動詞語幹「はかり」には、関連する多くの意味がある)。「はかり手」(文字通りには「はかり/量り」+「手」)は少し奇妙な構造で、英語で距離や量を「目で見る」と呼ばれるものを表す「手ばかり」をもじったもので、おそらくセトスの直感的な性質や、あるいはおっちょこちょいな態度を表しているのだろう。
脚注
ナビゲーション
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