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旅人のメロディー ゲーム音楽の制作秘話[]

【原神】 旅人のメロディー ゲーム音楽の制作秘話

本映像は、2020年サービス開始予定のマルチプラットフォーム対応オープンワールド型RPG『原神(げんしん)』のゲーム内音楽を手がけるmiHoYoの音楽制作チーム「HoYo-Mix」のプロデューサーインタビューや制作秘話、「ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団」による演奏風景などを収録した、ドキュメンタリー映像となります。

『原神』の音楽は、どういうイメージで制作していますか[]

Zoe、miHoYo音楽プロデューサー: 『原神』はオープンワールド型のゲームで、プレイヤーの皆さんには色んな町の違った雰囲気を感じさせたかったので、クラシック風の管弦楽をメインにし、それにワールドミュージックの要素を取り入れて、異なる雰囲気を出してみました。

Yu-Peng Chen、『原神』作曲・音楽: 音楽には確定したテーマと、『原神』というゲームに合わせた制作イメージが必要です。『原神』の主題が完成した後、次は変奏を行いました。主に管弦楽でワールドミュージックの要素を取り入れています。例えば、ティン・ホイッスルとアコースティックギター、他にも様々な弦楽器を使いました。中世的な雰囲気に聞こえるようにしています。音楽はとても重要なものだと思っています。プレイヤーがゲームの世界に入った時、何が一番最初に世界のイメージを与えるのかというと音楽です。だから、私たちが音楽を制作している時、一番難しいのはその統一性を保つことになります。

Robert Ziegler、指揮者: 今回の体験は私たちの楽団にとって、とても新鮮なものでした。映画ではたくさんの音楽が流れますが、ゲーム音楽は繰り返し、最初から最後まで流れます。これはゲーム音楽が違うクエストや段階であっても、同じ主題に沿って制作されるからです。そのため、Yu-Pengさんは多くの楽曲を作りました。面白い点は、映画の場合は画面を見ながら音楽を作ります。しかしゲームの場合は、プレイするまでゲームの画面が見れないことです。

Nick Wollage、ミックス: 今回の演奏の中で一番印象に残ったのは、Yu-Pengさんの高い作曲力です。一歩引いて、注意せず曲を聞くととてもシンプルな曲に聞こえますが、実際はシンプルではありません。演奏者の皆さんもベストを尽くして演奏しました。これはとても盛大な演奏会だと思います。曲の難易度が高く、時間的なプレッシャーもありました。皆さんのたゆまぬ努力のおかげで、こんなにも素晴らしい演奏を完成させることができました。

Philippe Honoré、第1ヴァイオリン: Philippe Honoreです。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と共に、今回のゲーム音楽の収録に参加させていただきました。完成度が高く、ゲームに相応しい音楽だと思っています。映画の音楽と同じような雰囲気があって、バトルの音楽も、わくわくさせるものがあります。他にも素晴らしい曲がたくさんありました。このような仕事に参加できて、とても嬉しく思います。

Graham Wood、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 マネージャー: Yu-Pengさんの音楽がとても気に入りました。曲の良さに限らず、いろんなスタイルを持っています。ゲームにぴったりだと思います。


Yu-Peng Chen、『原神』作曲・音楽: 『原神』のイメージにあわせて、一つの主題音楽を作りました。いろんな挿入曲やBGM、フィールドや町の音楽など、全て、この主題音楽からの変奏で作ったものです。『原神』では昼、夜、黄昏という時間の概念があります。この三種類の音楽がフイールドに応じて流れても、その基調は統一されており、感情も統一されております。主題以外では、バトル音楽が特に気に入っています。その中でも一番好きなのが風魔龍のボス戦の音楽です。バトルシーンの音楽では、緊迫感を出しながら、新鮮さを感じられるような要素を入れました。例えば、女性の声を入れて、悲壮感を表現しています。これはドラゴンを倒して浄化させたいという気持ちを表しています。あとは、風魔龍のフィールド全体のBGMも気に入っています。これは私自身のスタイルを表しているような気がします。マイナーが多くて、ちょっと芸術的で、それにほんの少しの憂鬱感があり、だけど、すごく穏やかで、落ち着いている。一種のカリスマのような感じです。音楽は一種の言語であり、魔法の呪文みたいなものです。プレイヤーの感情を呼び起こします。もう少しゲームの世界にいたいと思わせる、これがゲーム音楽の使命だと思っています。

旅人の弦歌[]

【原神】 旅人の弦歌——璃月の音楽秘話

上海交響楽団ホールで、上海交響楽団と民俗音楽アーティストによって演奏された『原神』璃月エリアの中華・東洋テイストの音楽。 『原神』璃月の音楽はYu-peng Chen@HOYO-MiXの作品です。この動画は璃月の音楽を作成時の理念やホールでレコーディングスタジオを用意した時の体験を語るものです。

中国楽器と西洋管弦楽の融合[]

Yu-Peng Chen、『原神』作曲・音楽制作: 璃月はゲーム内の2番目に登場するエリアとして、中華と東洋の独特の美しさを持ち合わせています。璃月の音楽制作においては西洋の管弦楽をベースに、中華の要素として中国の伝統楽器を加えました。これは中国と西洋の文化の融合です。

Huabing Tu、笛演奏家: 中国の民族楽器といえば、例えばこのの演奏をお聞きください。音はやや軽く、よく響きます。この楽器の奏でるメロディーは非常に印象深いです。それは楽器の音色がとても特徴的だからです。

Jiajun Ma、二胡演奏家: 二胡という楽器を演奏する際は、物語を紡ぐことをイメージしています。楽器から楽器の感情を感じ取り、森の中に流れる小川のように、あるいは果てしない平原を歩く時に感じるそよ風のように。

Mojia Zhao、古筝演奏家: 古筝の五音音階は音列が多いため、まるで音が会話しているように感じます。リズムに合わせ、ハーモニーを奏でます。

Wenqing Shi、琵琶演奏家: 琵琶について、唐の時代の有名な詩人の一人「白居易が自分の作品『琵琶行』にこう書いてあります。内容はこうです。「大絃は嘈嘈として急雨の如く」「小絃は切切として私語の如し」「嘈嘈切切、錯雜として彈き」「大珠小珠、玉盤に落つ」

Dong An 教授、『原神』璃月編OST 音楽プロデューサー:Yu-Peng Chenはずっと前から、伝統的な民族音楽とオーケストラのコラボを試しかったようです。聴き手側が気になるのは、両者が違和感なくハーモニーを奏でられるかどうか、両者がきちんと融合できるかどうかです。料理初心者がご飯と卵を一緒に炒めるだけのチャーハンでなく、シェフが作る。パラパラに炒めたチャーハンが欲しいのです。端的に言うと、この音楽が美しくできているか、中華の美の精神を上手に語っているかどうかです。今回のOSTの出来は大変素晴らしいと思います。

レコーディングの新たな挑戦[]

Yu-Peng Chen: 今回は特別に陸暁幸先生にご協力をいだたきました。彼はかつて、レコーディングでグラミー賞を獲得したことがあります。ベテランの陸先生は、現場の音を拾うことに熟達しています。ですが 今回の現場の録音条件はとても良いとは言えませんでした。

陸暁幸 教授、『原神』璃月編OST 録音監督/顧問: ヘッドフォンつけたままで作業することは大きなチャレンジでした。ヘッドフォンから音漏れが発生してしまうからです。普段は録音スタジオで作業している為、今回のような環境は初めてででした。幸い、ホールは静かで、SN比も高かったので、非常にクリアな音が拾えました。

Dong An 教授: 今回の仕事で今までより苦労した理由としては、通常、交響楽団のレコーディングは、簡易スタジオを使用することが多いのですが、今回我々は、ハイクオリティなレコーディングスタジオの環境を、で完全に再現しました。我々はその環境作りに丸一日の時間をかけました。

上海交響楽団とロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の違い[]

Yu-Peng Chen: 前回、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と一緒に仕事した場所は荘厳な雰囲気がする聖堂です。今回のレコーディングの場所は上海交響楽団のホールでした。ここは普段から上海交響楽団のメンバーが演奏している場所のため演奏者と指揮者、皆はとてもリラックスした状態でレコーディングを行えました。演奏者が中国の伝統的な音楽を演奏する際、感情を込めるパートは繊細そしてとても表現ができました。それに時にはアドリブを加えた演奏をしてくれたのも私が良いと思ったポイントです。

Jiemin Zhang、上海交響楽団指揮者: Chen先生はみんなに対して、とても厳しいです。また、彼自身が自分に厳しいようで、ピアノ演奏は3、4回納得いくまで、リテイクしていました。非常に尊敬しました。今回は一緒に仕事ができて本当に良かったです。また一緒に仕事できたらとみんなが思っています。

Songjie Zhang、上海交響楽団副首席奏者: 今回のレコーディングに参加できたことは本当に嬉しいです。『原神』というゲームの音楽について一緒にレコーディングに参加した私の同僚も言っていましたが、このゲームは音楽が作中に与える影響が非常に大きい。気迫に満ちた戦闘シーン、ストーリーのクライマックス、日常シーンのミュージックも非常に精密で作りこまれています。

Ping Zhou, President、上海交響楽団コンサートマスター: 交響曲はお堅く、とっつきにくい音楽と思っている方が多いのではないのでしょうか。しかし自分は、むしろ交響曲は最も大衆的な芸術の1つだと思っています。交響曲は誕生から数百年が経ちますが誕生以降どの時代にも交響曲は存在し続け、交響曲はその時代の文化を物語ってきました。「人工的な音」と「人によって奏でられる音」の違いは「人によって奏でられる音には魂がこもっているということです。心に響き、震えます。ゲームをプレイしている人に、ゲームプレイを見ている人にみんなの心に響くと思います。

Yu-Peng Chen: これからも、我々のゲームの音楽に対する理念は変わりません。ゲーム音楽を極めていきます。そのため今後も世界各地の様々な楽団と協力し、管弦楽をベースに世界各地の音楽スタイルを交響曲でアウトプットさせたいと考えています。

旅人の静かな思い[]

旅人の静かな思い——稲妻の音楽秘話

『原神』の稲妻で流れる音楽は、「Yu-Peng Chen@HOYO-MiX」が作曲を担当しました。その音楽は東京フィルハーモニー交響楽団と、日本でも指折りの伝統楽器奏者たちによって演奏され、HOYO-MiX及びSony Music Entertainment (Japan) Inc.によって共同制作されました。本動画は稲妻の音楽における創作理念と、一ヶ月半におよび両国のチームの異文化、異言語間で行われた遠距離での共同作業を記録したものです。


Zoe Cai, 音楽プロデューサー: 製品に適している、かつ新しいものを作る。これはHOYO-MiXの特徴であり、目指す目標でもあります。稲妻の音楽は璃月の時と同様、伝統楽器とオーケストラを融合させました。一番の違いは、日本伝統音楽の旋法を使ったことです。演奏は、和楽器奏者の方々と東京フィルハーモニー交響楽団にお願いしました。普化尺八三味線太鼓の和楽器は、稲妻音楽の至る所で使われています。これらの楽器のパートは伝統的な奏法を元に現代に沿った変更を加えました。また、音楽の伝承性を保つために耳馴染みのあるメロディをアレンジしました。例えば皆さんが聞き親しんでいるバトルテーマの稲妻バージョンや、『さくら』のオマージュである雷神のテーマなど懐かしさと目新しさを感じて頂ければと思います。

Yu-Peng Chen, 作曲家: 今回はSony Musicにご協力頂いて、東京フィルハーモニー交響楽団と、著名な指揮者である栗田博文さん、音楽監修に宮野幸子さん、それから優秀な和楽器奏者や歌手の方々をお招きしました。このご時世ですから、リモートで、約1ヶ月半に渡って収録を行いました。事前の打ち合わせ等を含めれば、4ヶ月ほどかかりました。今回のリモート収録は、コミュニケーションで一番苦労しました。


Yu-Peng Chen, Composer: こんな感じのコミュニケーションは、一往復で4、5分ほどかかってしまうので、最初は順調とは言い難かったです。奏者と指揮者のコンディションに影響を与えてしまうことは、わかっていたのですが、こういう環境だからこそ、お互いの信頼を深められると思いました。しばらく経ってからは、こちらからの変更のリクエストをすることが少なくなりました。日本にいる音楽監修の宮野さんと現場での判断が、信頼できるとわかったからです。彼女からの改良のアドバイスを出すこともあれば、指揮者の栗田さんから宮野さんへ楽譜について質問することもあって、コミュニケーションがかなりスムーズになりました。オーケストラが休みの日に、録音を聞き返して、調整する必要があれば、次の収録日で改善してもらうようになりました。この間の双方の歩み寄りで、私もとても勉強になりました。

今日最後の数曲は特に感動しました。今日はマリンバから始まる曲があって、ちょっと難しく書いてしまって、実際に演奏するのは厳しいのではないかと思い、2バージョン作りました。でも奏者の方は演奏すると強く言ってくれて、たぶんたくさん練習してくれたと思います。音を聴いたらすぐにわかりました。とても複雑なマリンバパートなので、最初は伝え方が悪かったのかもしれません。この楽器はやめようではなく、この楽器のないバージョンを先にやってみたいと言うのが正しかった。奏者の方を傷つけたかもしれません。今後は気をつけなければと反省しました。

栗田博文, 指揮者: 3日間今回レコーディンさせて頂きましたが、本日無事にこれでホッとしています。たくさんの楽器を使い慣れていて、またその使い方が楽譜を見ていくと、非常に効果的にサウンド作ってらっしゃるなって感じましたね。楽譜に書かれていることをできるだけまず忠実にすると、その裏側にある皆さんの思いみたいなものが具体的なサウンドになっていくかなってトライしていきますので、そう意味では、とてもいい演技できたんじゃないかと思っています。

宮野幸子, SHANGRI-LA Sound Director: 中国人の陳先生が、日本をイメージされて作ってる曲だと思うので、日本人はこういうのは逆に思いつかないっていうような、日本的な旋律なんですけど、どこか日本っぽくないパラレルワールドみたいところが、すごく逆に素敵だなと思いました。

Yu-Peng Chen, Composer: 日本の奏者は細かい所でもとても真面目で、楽譜の表情記号を忠実に演奏してくれます。感動しました。一番印象深かったのは、あんなに大人数なのに、収録中にほとんど雑音がなく、誰も楽器以外の音を出さなかったことです。静かな曲の収録中は、全員が息を止めているんじゃないかってくらい澄んだ音になりました。

今までのエリアのバトル曲は人気だと聞いたので、今回の稲妻のバトル曲もたくさんの時間をかけました。今回は一曲多く作って、野外バトル曲が4曲、それぞれ異なる楽器の組み合わせになります。例えば太鼓三味線普化尺八と、和楽器だけで構成された曲は、楽式は現代の電子音楽のスタイルを取り入れて、ビルドアップとドロップがあります。和楽器をベースにオーケストラとボーカルを入れた曲もあります。もう一曲は太鼓の激しいリズムに、弦楽器の稲妻テーマ曲の穏やかなメロディを加えて、執着の雰囲気を作りつつ、悲しげな感情を表現しました。


渡邊香澄, Koto & 25-string Koto player: 二大流派がありまして、生田流と山田流があります。私は生田流の方で演奏していまして、この四角い爪で演奏するのにあたって、ちょっと斜め左向いて演奏するいう決まりがあります。そこが山田流のちょっと違いまして、山田流は、真っすぐ向いて演奏し、爪も尖がっていたりする。メロディーと共に変動していく曲がとても多いですけれども、どこかで繋がっていて、日本の五音音階を多用しているなとすごく思ったです。あとは壮大な自然を感じるイメージを強く受けました。普段から後ろにある25弦のを今年で誕生して30周年の記念の年なんですけれどもあちらの楽器をライフワークとして使用しておりまして、今回の曲を弾くのにがないとちょっと難しいところがたくさんあるので続けていてよかった。

寄田真見乃, Koden Shakuhachi Performer: 古典尺八の音は独特なので、今回の尺八パートの音のイメージに合わせて、尺八の音が伝わるかどうか心配でした。自然が織りなす神秘的な音や激しい戦い、儚さや強さ、そして自然の摂理など、ドラマ性が高い曲だなと思いました。尺八の場合、ビブラートは首を横であったり縦に振ることをユリって技法なんですけど、ユリをたくさん使ってビブラートを強弱をつけているので、それぞれパートによってすべて違うので、そこの違いを楽しんでいただければなっと思っています。

リモートで直接中国のプロデューサーさんの方と演奏して直ぐに聞いていただいて、リプライ貰ってここをもうちょっとこーいうニュアンスでやり取りで曲を作っていったんです。より一緒に作り上げている感がすごく感じられて、とても楽しく演奏することができました。普段の演奏の場合は、曲のはじめと曲の終わりに必ず合唱するようにしています。それは、聞きに来てくださったお客様にもなんですけど、すべてにおいて感謝の気持ちを込めて演奏できるように合掌するようにしています。

小山豊, Tsugaru Shamisen Player: 三味線にはいろいろ種類ありまして、僕は津軽三味線という数ある三味線の中で大きいな楽器なんです。譜面届いた時に、これまず一見して弾けないと思いました。難しい。「弾けるかな?」と思った。

先生が描いている音色とニュアンスと津軽三味線が持っている強さとか、そういうものが合致していなかったり、逆にいえばすごく合っている部分あったり、とにかく自分の中でも、かなり今までやってきたレコーディングの中でも、かなりのハイクラスの難しさを感じてます。世界に向けては、音をしっかり表現していくって結構責任も感じていますし、先生に喜んで貰いたいという奏者としてはそこなので、まだまだ始まったばかりですけど、先生のいいところちゃんと汲んで、世界観の1つになれるように頑張りたいと思っています。


Yu-Peng Chen, Composer: 三味線の奏者たちには特に感謝しています。今回の『原神』の音楽において、三味線は非常に重要な役割を持っていて、難易度も高い。皆様が時間をかけて練習してくださって、収録中も根気よく何度も相談しながら調整して、最終的に非常に良い結果を得られました。

Yuta Sumiyoshi, Kodo Taiko Performing Arts Ensemble Performer: 一曲目はかなり6時間かかりましたね。この調子で、あと4曲録ったらあと18時間かかるなあと思いました。でも、最終的には皆の身体にも少しずつ入っていって、1曲目の魂が一回体に入っちゃえば、2曲目、3曲目、4曲目は、割とスムーズに行けたかなと思います。そらぞれのセクションで別々に録っているので、例えば、オーケストラはオーケストラの方で録ってと、同時に一緒にやれないので、そこの息を合わせるのが、意外とちょっと今回難しく感じました。

日本を楽器を使っているのに、いい意味で日本ないというのがすごく気持ちよかった。ある意味ルーツを辿っていける感じがして、意味深い楽曲なんじゃないかなと思います。シルクロードを渡って僕ら楽器って来たんだと、改めて思わされたと、先生の楽曲はそれが果てしなく感じて、僕らも太鼓でドーンと一発打った時に、果てまで広がっていく音はイメージはしっかり持ってました。

Yu-Peng Chen, Composer: 太鼓チームの演奏もすごかったです。今回のバトル曲はリズムが異様に複雑なのに大人数でも正確にリズムがとれていました。十数人の奏者が同時に鳴らす太鼓の質感が、大変素晴らしかったです。太鼓の奏者の方は、歌が専門ではないのに、手伝ってくださって、良い感じだったのでそのままにしました。今後は一気に駆け抜けるような太鼓だけの曲も書きたいと思いました。太鼓の雰囲気は『原神』に合っているので、また機会はあると思います。その時はよろしくお願い致します。お疲れさまでした。

Hirofumi Kurita, Conductor: ありがとうございました。

千葉智史, Sony Music Publishing (Japan) Inc. Music Supervisor: 作曲、要はクライアント様のサイドが中国にあって、和テーマを元に日本のミュージシャンが参加して音の最終調整が確認してが行われるということだけで、まさに世界を又にかけて製作が行われたプロジェクトというのは自分的にも関われてし、『原神』というゲーム自体、全世界で発信されて思うので、クリエイターサイドや制作側の熱量が各地にこもったものが、世界の皆様に届くという考え深いです。プレイ実際にしてみると音楽と合わさって感動的なシーンとかがあったりして、広い世界の中で遊んでいるのにマッチした策金だと思っています。今回の曲に関してもそういった皆様のハッとなる体験を1つの要素となればと願っています。

Yu-Peng Chen, Composer: 音楽の合作は、本質的には文化の交流です。特にどうやって演奏していくかについて、それぞれの見方と解釈があって、お互いを尊重し、信頼し合うことが大切です。出来上がった音楽は非常に素晴らしいものでした。

栗田博文, 指揮者: 今回の曲を通して、こういう形で音楽を通じて、日本を、中国の方と文化交流をできたので、嬉しく思っていますし、今回収録した音源が全世界の『原神』のファンの皆さんが楽しんでいただければと嬉しく思っています。ありがとうございました。

Zoe Cai, Music Director: 文化を超えた合作、伝統的だけど伝統に囚われない音楽。プレイヤーの皆様にも、「ここが原神」だと感じて頂けたら嬉しいです。

開発者共研計画——『原神』音楽制作秘話01[]

開発者共研計画——『原神』音楽制作秘話01

『原神』のテーマ曲——明確な方向性と繰り返される困難な作業[]

『原神』のテーマ曲はかなり早期の段階で創作の方向性が決まっていたため、順調にプロデュースすることができました。用いられる楽器とその地域独自のスタイルがマッチするよう、各地域ごとに異なるテーマを設定し、そこからキーワードを練り上げて音楽を作り上げています。

テーマ曲のひな型となるものを作った後、細部の表現の調整を行いました。その際、サウンドチームは細かな問題にいくつもぶつかることになります。例えば、どの地域にテンポの速い音楽を用い、どの環境ならゆったりとした音楽を用いるかなどです。早期の制作段階では思いつきもしなかった問題が毎日のように発生しました。

これらの問題は、その後の制作の過程で繰り返し改善を重ねていっています。その過程により細かな変化はあったものの、テーマ曲の全体的な雰囲気はあまり変わっていません。テーマ曲のコンセプトはクラシカルのまま。それを楽器演奏によって自由、純粋、情熱を孕んだ冒険であることを表現するようにしています。

これらのキーワードは、私たちが音楽の面から『原神』を理解し、そして導き出した解釈でもあります。しかし、明確な創作の方向性があったとしても、demoが何バージョンも出来るほど困難な制作過程を繰り返すことになりました。旅人の皆さんの中には、このテーマ曲がどのように作り出されたのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?


最初は、単にピアノで弾いたdemo曲でした。初期のピアノdemoから無数の修正を経て、最終版が完成したのです。私たちはその一部記録を残しています。

『原神』テーマ曲トラックリスト/ by Yu-Peng Chen
ログイン画面BGM―昼トラックリスト
v0では、ピアノの単音(右手)で演奏する原神のテーマメロディ、このバージョンをもって私は以下の項目を遂げようとしました。1.和声と管弦楽器がなくても、聞き飽きないこと。2.変奏曲として組み替えられる可能性を持っていること。
v1では、テーマ曲のメロディを決めて、v0のピアノパートに和声伴奏を入れました。この純粋なピアノ曲は早期のテスト版で使われたのですが、プレイヤーたちからいい反応をいただけました。
v2では、ピアノ版を完成させた後、簡単な弦楽を曲に編曲し、黄昏のログイン画面に採用しました。(現在、黄昏のログイン画面は新しい曲に切り替わっています。)
v3では、アイリッシュ・フルートでテーマ曲を演奏してみました。(フルートは私自身が吹いています。)
v4から、私は本格的な曲の制作に取り組み始め、テーマに多様な可能性と音楽性を入れました。編曲をするにあたり最初に決めたことは、この曲を叙事性のある広大な楽曲に仕上げることでした。また起伏の大きな管弦楽器によって、原神の広い世界を感じさせたいと思いました。こうすることで、プレイヤーが曲を聞いた途端、ゲームに強い期待感を持つようにしたかったのです。
v5は最終版であり、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団で収録したものです。私は前奏のピアノをハープに変え、最初のバイオリン独奏をアイリッシュ・フルートに変えました。そして、女声のコーラスを入れました。

ログイン画面BGM―夜トラックリスト
v1では、女声のハミングだけでテーマ曲の単音メロディを表現することで、彼方から聞こえるような雰囲気と、神聖さ・太古の響きを表現してみました。
v2は変わらず女声の演唱です。このバージョンで私はアカペラ形式を採用しました(コーラスは基本的に私自身が歌っています)。
v3では、元々の歌詞「AH」をベースに、様々な思考錯誤を重ねた結果、曲を昇華させるため私が書いた歌詞を付け足しました。歌詞はただの語感によるもので、特に意味はありません。聖歌のような曲です。
v4では、以前のバージョンが聴いていて飽きやすく、私が創った空想の言語も厳密性には欠けるため、最終的に諦めることとなりました。そして、耳障りの良い「Wu」でメゾソプラノに改めて歌ってもらいました。メゾソプラノの音色は曲に落ち着いた感覚をもたらし、より神聖な雰囲気を与えてくれました。そして、これを夜のログイン画面に採用することにしたのです。

私たちは、ログイン画面のBGMの完成度を極限まで高めたいとずっと思い続けていました。ログイン画面のBGMとは、往々にしてプレイヤーに深い印象与えるものだからです。一つのゲームをクリアして何年か経った後、そのゲームのログイン画面のBGMがふいに頭の中に浮かぶなんてこと、皆さんも覚えがあったりするのではないでしょうか。

つまり、音楽とは画像や文字よりも純粋な言語として存在し、記憶を容易に呼び起こすことができるものであり、私たちの心の奥底にまで届くものなのです。私たちは『原神』のテーマ曲に、そういった言語になって欲しいと考えています。

『原神』OSTのデザインポイント——音楽とゲームの相乗効果[]

以前より旅人さんたちから、『原神』はゲームそのものと音楽どちらが先にできましたか、とよく聞かれました。この質問に対し、本日はこの場を借りて音楽デザインの観点から解説したいと思います。

一番最初に『原神』の音楽プロデュースを始めた時、私たちが参考にしたのは一枚のCGでした。若い旅人が崖に腰掛け、遠くにあるモンドを眺める図です。

当時の私たちはこの図からでしかゲームを読み解くことができず、ゲームのテーマや核心となる部分、感情の流れなど一切知るすべがありませんでした。ですが、私たちの知らない細部にこそ、音楽を生み出す材料が宿っていると感じたのです。

その細部を知るため、プログラマーやIP、アートチームの仲間と繰り返しコミュニケーションを取り、ゲームを理解することで創作の方向性を調整しました。

比較的、大きく変化をしたのはゲーム内の環境BGMです。繰り返しテストを重ねた結果、理想的なBGMの音量を設定することができました。この音量に設定された環境BGMはオープンワールドに見事なまでに融合し、ゲームの雰囲気を引き立てます。 また、各チームの方々と一緒にゲームのテストを幾度となく行わせていただきました。これは実際のゲームプレイでサウンドの演出をチェックしたかったからです。

もしゲームを巨塔に例えるのならば、音楽は特別な木材です。サウンドチームの仕事は木材を準備することだけではなく、それを最適な場所に嵌め込むことになります。作曲が終わると、次はレコーディングに入りました。理想を実現させるため、私たちはコストを惜しむことなく、最高の演奏家と最新の音楽表現を求めました。

例えば、モンドのテーマ曲の独特なスタイルを表現するために、私たちはイギリスへと赴き、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団を招いてAIR Studiosで録音しています。ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団は世界有数の音楽品質と影響力を有しており、私たちが求めるモンドの音楽を完璧に再現してくれました。

これから先も私たちはこの理念を貫き通すつもりです。音楽の質を高めると同時に、世界各地の名門楽団と手を組み、オーケストラをメインに世界に通用する音楽を多数創作していきたいと思っています。

ログイン画面の時間の移り変わり[]

ゲーム内の音楽表現で言えば、真っ先にログイン画面の「4つのパターン」が思いつきます。ファイナルCBTで注意深く見ていた旅人さんはすでに気付かれているかもしれませんが、『原神』のログイン画面は時間によって昼、黄昏、夜、夜明けの4つの段階に分かれているのです。この各シーンごとに合わせ、ログイン画面の音楽も少し手を加えています。

この4つの時間帯はある一つのメロディを共用しています。ただ時間帯によって表現方法を変え、細部を大幅に変更しているのです。昼のテーマ曲は盛大であり、夜明けと黄昏のテーマ曲は優しい雰囲気を。そして、夜になると女声のハミングが加わり、神聖さがプラスされます。

また、より強い変化を演出するために、曲の交代に合わせてハープの間奏を入れました。Yu-Peng Chenが直々に昼版のテーマ曲を指揮し、曲の感情的な部分を強調させています。旅人の皆さんもぜひ時間を見つけて、ログイン画面の音楽を聴いてみてください。

BOSS音楽:感情誘導の音楽[]

いくつかの楽曲の中で、特に印象深いのが風魔龍トワリンのBGMです。

この曲を制作する時、私たちは通常の「熱い」戦闘曲は放棄し、感情の誘導に焦点を当てました。風魔龍のストーリーを音楽に溶け込ませることで、ひと味違う曲を作り出したかったのです。

トワリンだけでなく、『原神』の音楽は全体的に「感情誘導」に傾けています。私たちは、旅人さんが音楽をバトルの演出を盛り上げるためだけの要素として認識するのではなく、『原神』の世界を、ストーリーを、歴史を理解するのに大切な一環として認識するようにさせたかったのです。

風魔龍のBGMがそうであったように、風魔龍のストーリーを体験したならば、きっとこの曲からトワリンの「遥かな思い」に共感できるかと思います。

風魔龍トワリンと奔狼の領主アンドリアスのBGMには、それぞれ小ネタが隠されています。例えば、皆さんが耳にしたハミングはYu-Peng Chen本人のものです。音楽の感情を最大限に引き出すために、プロデューサー自らが「戦場」に出るなんてことは珍しくありません。こういった方法をいくつも試していき、音楽で旅人さんと『原神』の繋がりを強め、このゲームをより好きになってもらいたいと私たちは思っています。

『原神』音楽のあと書き[]

Lastly, I'd like to return to the Lantern Rite video. The surprising musical experience it provided viewers was really just a coincidence. In fact, the music wasn't created for the video itself; it was originally a tune used for the main environment of Liyue, so the instruments and melodic structure were all selected with a grander scale in mind.

The music production team actually never received any request to make background music specifically for the Lantern Rite video, nor did we have any idea about the divine deer, fireworks, and other visual elements. Even the video production team wasn't sure what style of music they were looking for. Despite this ambiguity at the start, we were able to find music that exquisitely matched the aesthetics and content.

Selecting the right music not only involves finding the right melody but also the right emotion, the latter of which is most stirring — the viewer's emotion rises as the divine deer leaps and the fireworks launch into the sky, with the music also carrying the emotion to a climactic height from where we can look down on all of Liyue. We marvel at the view below: a joyous, lively, firework-filled paradise. Here we also witness the magnanimity of Teyvat, which, by giving birth to such a city as Liyue, manifests the glory of a people and world in harmony.

Even though this video isn't exactly the final product of careful planning, it magically possesses the artistic sense we hoped to convey. Perhaps this kind of beautiful coincidence is where the intrigue of music production lies.

Yu-Peng Chen VGMO Interview[]

Yu-Peng Chen Interview: The Music of Genshin Impact

The first big region of Genshin Impact is Mondstadt. It's where all the adventures begin. The music design in this region is rather simple. The artistic design of Mondstadt has a lot of European elements. The city is a free and uninhibited place where chivalry is greatly advocated. As a result, I tried to make the music more free and relaxed without sacrificing the romance and eloquence of ancient Europe. Mondstadt is also a city that believes in "wind," and the wind element is the first element that the traveler can use, Therefore, I used a lot of woodwind instruments in battle music hoping to imitate the free-flowing character of the wind. I know how to play the clarinet and the Irish tin whistle, and I'm also a quite adequate piano-player. That's why I actually improvised a lot of the music in the open world.

In "Caelestinum Finale Termini," the tension of irregular string rhythm reflects the tension of the overall atmosphere of the battle, and the melody lines are also hidden within the rhythm. The main melody in the woodwind section plays out the uneasiness in the heart of Dvalin, and the humming human voice sublimates the significance of this fight. It shows that the destiny of the Traveler is to purify Dvalin.

In "Symphony of Boreal Wind," I try to learn from Beethoven's orchestration elements. The elements of breath and pauses in the melody make it sound more determined, sonorous and powerful, which fits the image of the wolf. The piano line is like the combination of the ice element and the wind element. The choir makes the wolf seem more deterrent and gives off a more poetic feeling overall. I love this song very much.


The artistic style of Liyue has Chinese Oriental fantasy elements. Therefore, in addition to using Chinese music instruments, the music of Liyue integrates Western harmony from classical music with traditional Chinese music. Occasionally, I also mix in some extended jazz chords in Liyue's music to add color to the simple melodies of Chinese pentatonic scale.

I especially like the song "Another Hopeful Tomorrow." Generally, the more simple and ingenious the music is, the more it can move the audience. I can usually compose music like this in one sitting. It sounds easy, but in fact, you need to accumulate a lot of energy to understand the course of life, and you also need to have a unique understanding of the musical language to be able to do that. For example, I often think about how melodies or motives interact, how I can make them sound more like daily speech, to make them have a more natural expression, pause, breathing, fluency or hesitation that may hide or express emotions. I will deliberately look for such beauty.

旅人の馳せた思い[]

旅人の馳せた思い——スメールの音楽秘話

Yu-Peng Chen, Music Producer for Genshin Impact and HOYO-MiX: 「反復進行」は音楽制作で、メロディーを展開させるためによく使われる手法で、音の高さを変えながら反復させることで、より一層情緒溢れる表現が可能になりました。これは私たちのテイワットでの旅と同じです。旅人の足跡はモンドから、海を越えて稲妻へそして層岩を越えてスメールへ…。それぞれの探索の中で忘れられない物語があります。原神の音楽は私たちの探索に寄り添い、絶え間なく物語を盛り上げ、その積み重なりは感情や淀みを、心に沁みわたらせます。

Jinhai "Zoe" Cai, Music Director, HOYO-MiX Manager: 私はHOYO-MiXチームのメンバーそれぞれを音楽の修道者に例えています。私たちは音楽を創り続けるために十分な忍耐力を持っています。己が持つ音楽言語を市場の需要と組み合わせ成長することを喜びとして捉えられる人でありたいのです。スメールにおける音楽制作では、HOYO-MiXチームは異なる文化圏の文明の足跡を辿り、伝統文化を探索すると共に、革新を求めました。

Yu-Peng Chen:一つの地域の中に全く違う二つの地形が広がることは、 土地に根ざす文化の探求という意味でも革新的な表現と言えるでしょう。「霧雨と飛砂」というテーマが決まった時、私たちは最初に熱帯雨林に覆われた南アジアをそしてどこまでも砂漠が続く中東を思い浮かべました。南アジアからは雨林の環境を表現するため、バーンスリー、シタール、タブラなどの楽器を使用、制作の中ではヨガ音楽の要素を融合させてみたり、溢れんばかりの現代的な英知と精神性に時々、非対称な複合拍子を取り入れたりして「生命」の息吹に満ち溢れたものにしています。中東からは砂漠やキングデシェレトの霊廟を表現するため、ナーイ、ドゥドゥク、サズなどの楽器を使って壮大な叙事詩のように、遥か古代の「知恵」を表現した音楽にしたいと考えました。

スメールの地形は非常に複雑で雨林と砂漠という二大地域のもと、不気味なオーラを秘めた「死域」がプレイヤーによる探索と浄化を待ち受けています。私たちは双方向型の音楽を目指して改良を続け、謎に満ちた探索と緊張感ある戦闘を一体化させました。

Di-Meng Yuan, HOYO-MiX Music Producer: 死域は他の情景とは異なり、現実離れした一種の圧迫感があります。音楽デザイン上では、無調傾向のオーケストラと電子音を組み合わせることで民族楽器を引き立たせ不気味で恐ろしい雰囲気を醸し出しています。

Yu-Peng Chen: 実は制作の初期段階では、私たちは異文化圏の民族音楽家の演奏を、インターネット上の動画でしか聴けませんでした。幸い、モンドの音楽を録音するためにロンドンを訪れた際、私たちは大英博物館に立ち寄り古代エジプトやシュメール文明の歴史文化財を見ることができました。ベルギーのブリュッセルでは楽器博物館へ行き、たくさんの写真をカメラに収めました。スメール地域の最高の音楽を制作するために、音楽チームは3年間、下準備を行い、力を蓄えていました。

Martin Robertson, Duduk Player: ドゥドゥクは、おそらく最も古い木製楽器私はピラミッドから掘り出されたものも見ました。ずっと昔からあるもので、とてもシンプルなデザインです。アンズの木に巧みに竹を組み合わせて作られていて、吹いて振動させるだけで美しい音色が奏でられます。

Yu-Peng Chen: 民族音楽の奏者の方からすれば民族的特色を持つ楽器で伝統音楽以外を演奏することは慣れないことのようでした。そのため彼らとの協力の際は、絶えずコミュニケーションや擦り合わせが必要でした。

Kuljit Bharma MBE, Folk Music Producer and Tabla Player: インターネット上でシタールと検索するとこの楽器には28本の弦があることが分かるでしょう。しかし、恐らくこれは検索しても見つからない情報だと思いますが——奏者は28本の弦のうち、1本のみしか弾いておらず、その1本の弦によって、他の27本は自ずと振動しているのだということはあまり知られていません。そのため、多くのセクションにおいて、シタールの演奏は困難を極めます。

Dursun Can Çakin, Saz Player: 自分と同じ視点から世界を見ている人たちと、一緒にいられることは幸福です。私たちが興味を持つ事柄は似ていますから、特に音楽のことになれば残りの仕事は細部の作り込みだけになります。なぜなら、どんな形であれ感情やその表現を伴う音楽は、いつも素敵なものだからです。私たちがそれらの感情をうまく表現できていたなら、これほど嬉しいことはありません。

Eliza Marshall, Basuri Player: これら全てのことが私の脳に活力を与えてくれます。中国の作曲家たちと、インドの音楽スタイルによる美しい音楽——私たちがしていることは、ある種、文化発信に近いことです。これを非常に嬉しく思います。私はイギリス人ですが、小さい頃から世界中の文化の影響を受けてきました。なので、今こうしてそれらを繋ぎ合わせることに従事できるのは、とても素晴らしいことだと思っています。

Di-Meng Yuan:これらの異なる文化圏から来た伝統楽器は想像力を駆使して組み合わせることで スメール文明を代表する「新たな秩序」を形成できます。ひょっとすると、プレイヤーがスメールに初めて足を踏み入れた時、まず目を引かれるのは壮大な風景だったかもしれません。しかし冒険が進むにつれて、個性的な登場キャラクターと、その背後にある物語が徐々に浮かび上がってきます。

情景に合わせた音楽は、臨場感と没入感に重点が置かれゲームならではの文化や色彩の一部を体現しています。ストーリーで流れる音楽は、展開の緊張感をより強めてくれますし、バージョンPVの音楽は、コンテンツを繋ぎ合わせ新バージョンの注目点を一つにまとめ上げます。また、私が思うキャラクター音楽の最大の特徴はそれぞれのキャラクターにぴったりなスタイルでテーマメロディーやアレンジが加えられていることです。音楽を通して可能なかぎり、キャラクターの外見的、内面的特徴をより強調してプレイヤーの皆さんにお届けしています。チームでは、異なる音楽セクションの制作をそれぞれが担当しますが、それらのセクションが組み合わさることはじめて完全な原神音楽の世界が完成します。

また、キャラクター音楽のメロディーはよりポップなものにすることで、聴いた人に鮮烈な印象を与えるものになっています。編曲の際は、EDM、ロック、トラップの要素を融合させることで、キャラクターの特徴をより明確にさせ、インパクトを与えるようなものにします。時には、より面白いスタイルにするため型を破ることも——例えば楓原万葉のキャラクター実践紹介では、ヒップホップの要素を取り入れました。浪人の雰囲気を、画面上の表現と上手く組み合わせようとしたのです。制作時、私たちは異なる楽器を使い分けることでキャラクターの性格を表現しています。例えば『輝く星々』のサウンドトラックアルバムでは、鍾離の主奏楽器として二胡が『輝く星々Vol. 2』のサウンドトラックアルバムではエウルアの主奏楽器としてアコースティックギターが使われています。キャラクターのメインテーマとゲーム中の音楽テーマは同じ流れを汲むものであり、キャラクター音楽、物語の背景、ストーリーの情景には、本質的な繋がりが必要です。例えばVer.3.0のPVで登場したドリーはオルモス港に出没する一介の商人ですが、教令院の制約とは無縁であり、より自由で奔放です。そこで、彼女のキャラクター音楽は、スメールの戦闘曲をテーマとしつつ同時にハードスタイルなリミックスも行うことでお互いが呼応するようになっています。

Yu-Peng Chen: 統一感を大事にするために雨林と砂漠という二大地域に、同じ戦闘音楽を落とし込む必要があります。楽器を割り振るにあたって南アジアと中東の民族楽器を同時に使用し、オーケストラと融合させました。一部の独奏楽器は、地域によって細かく使い分けています。例えば同じ戦闘音楽でも、雨林地域では管楽器としてインドのバーンスリーが使われており、音色は柔らかく繊細なものとなっています砂漠地域では、戦闘音楽という点は同じでも管楽器はナーイとドゥドゥクに変わります。これらは中東地域の楽器で、音色は掠れていて野性味溢れるものになります。

Robert Ziegler, Conductor and Music Producer: また、スメールの戦闘音楽の中で使われているテーマはただモンドの戦闘音楽を変奏しているだけではなく、ある曲では思い切って曲中にフィボナッチ数列を取り入れてみました。多彩でバリエーション豊かなリズムが、現代的な聴き心地を提供しています。印象的な曲は本当に沢山ありますが、中でも特に記憶に残っているのはX063(『疾駆流金』)です。この曲はリズムが次から次へと変化し、12 12 123 12345 12..といった具合に続きます。このリズムは人々の心を鷲掴みにするもので、みんな、すぐにこのリズムに馴染めました。いつも私たちが長いセクションに取り掛かる時はそれらをいつも私たちが長いセクションに取り掛かる時は、それらを小さな部分に分けて録音し、その後一つにまとめ上げます。

Yu-Peng Chen: それから、草元素と最も密接に関係する戦闘曲と言えば、新しい魔物、マッシュラプトルにぴったりな戦闘音楽です。極めてシンプルな音楽的モチーフが使われておりモチーフが繰り返される度に装飾音を異なる方法で奏でることで、モチーフを切って変化させます。さらに、リズムをばらして、切り離された音の再構築を行います。これは楽器を演奏する上で、とても難しいことです。アクセントのリズムがどこにあるか分かりにくくなるのです。ですが、シンプルなメロディーに対して、演奏方法やディテールは複雑に作り込まれ、この戦闘曲を唯一無二のものにしています。

Di-Meng Yuan: 「スメールは古代文明の遺産の影響を受けているが新生なる知恵はすでにその序曲を奏で始めた」知識を資源として管理するスメールという国においてストーリーの核心に「知恵」の2文字は欠かせません。

Yu-Peng Chen: そのため、「知恵」という大きなテーマを背景に、雨林と砂漠というまったく異なる2つの音楽スタイルをカバーする必要がありました。これは私たち音楽チームにとって、前代未聞の最も困難な挑戦でした。スメールの音楽は全体として一つの特性を持っていて、メロディーの展開を終始「反復進行」という伝統的な作曲技法で表現しています。これは「知恵」という精神の核心に近づくためでもあります。では、「反復進行」とは何なのでしょう。皆さんはVer.3.0の予告番組を覚えているでしょうか?スメールの交響曲テーマは冒頭のメロディーが反復進行の形式で分断され変えられており、これが結果的に音程の関係やまとまりに変化を与えています。また同時に、クラシックの作曲家リムスキー=コルサコフの交響組曲『シェヘラザード』の一部の楽器の割り振りを参考にし、色彩豊かなハーモニーと流れるような内声の質感を加えました。この序曲のメロディーテーマは幕間PV「冬夜の戯劇」の最後で、コレイの夢の中に現れる不気味なシーンに対応していてとても自然に後のスメール地域の音楽と繋がり主調を固めています

Jinhan "Zoe" Cai: 各地域の風景やゲームプレイ、ストーリーが充実し続けていく中、HOYO-MiXには、今後もまだまだ多くの挑戦が待ち受けていることでしょう。HOYO-MiXの音楽をより世界に同調させ、より限りないものとする。これこそが、現在HOYO-MiXの「突破」における重要な目標です。世界の審美の変化に対応し、 世界の審美の変化に対応し、中国風のニュアンスと審美を異文化圏の標準に溶け込ませることで原神の特色を生かしたワールドミュージックを制作していきたいと思っています。私たちは旅人と同じように、常に探索し、掘り進む中で成長し、突破していきます。これからも音楽の旅の中で皆さんに寄り添い、更なるサプライズを提供いたします。